全身性エリテマトーデス(SLE)悩み相談室

全身性エリテマトーデス(SLE)でお悩みの多くの方から当研究所に寄せられたご相談内容の一部を掲載いたします(個人情報は抹消しております)。ご自分の今後の治療にご活用頂けたら幸いです。

Q8.18歳の娘がSLE(全身性エリテマトーデス)と診断されています。約3カ月前から、尿たんぱくが陽性になっていることから主治医がプレドニンを増量されました。最近になって、徐々に足に力が入りにくくなり、椅子から起き上がるのに苦労するようになりました。SLEが進行しているのでしょうか?

A.ステロイド増量開始から3カ月後の筋力低下は「ステロイド性筋肉障害」と考えます。

ほとんどのステロイドによる筋肉障害は、慢性期に起こります。特徴は、体幹に近い筋肉が弱くなることです。椅子から立ち上がれない、髪を櫛でとくことができないなどが典型的な症状です。

一方、ステロイドのパルス療法などによって起こる急性のステロイド性筋肉障害は、全身の筋肉が崩壊(rhabdomyolysis)し、筋力低下がみられます。

多発性筋炎という膠原病でも同じ症状が出現しますが、その場合は血液検査でCK(クレアチンカイネース)という値が上昇しますので、そこで鑑別がつきます。

治療はステロイド薬の中止です。急に中止するとSLEが悪化する場合がございますので、主治医とよく相談されてください。ステロイドを中止してから筋力が回復するまでに数週間かかることがあります。SLEの進行ではございませんので、ご安心ください。


次のページへ