全身性エリテマトーデス(SLE)悩み相談室

全身性エリテマトーデス(SLE)でお悩みの多くの方から当研究所に寄せられたご相談内容の一部を掲載いたします(個人情報は抹消しております)。ご自分の今後の治療にご活用頂けたら幸いです。

Q4.24歳女性です。全身性エリテマトーデス(SLE)と診断されて5年になります。最近、尿検査でタンパクと潜血があるといわれました。腎臓の障害が進んでいるのでしょうか?

A.全身性エリテマトーデス(SLE)は腎臓に起こる慢性炎症(ループス腎炎といいます)が予後を決定いたします。尿検査でタンパクや潜血が出た場合や血液検査で腎臓機能障害がある場合は、腎臓の慢性炎症の程度を知るために「腎臓生検」を施行いたします。

これは、ループス腎炎の程度によって治療法が若干変わってくる(免疫抑制剤の種類や量)からです。以下に「腎臓生検」のWHO分類(I〜Vに従ってループス腎炎が重症化)を記載いたしますので参考にされてください。

  • Class I : minimal mesangial glomerulonephritis
    (微小メサンギウム糸球体腎炎)
    光学顕微鏡では正常像ですが、電子顕微鏡ではメサンギウム細胞に免疫複合体の沈着があります。初期変化です。ステロイドの維持量で治療可能。
  • Class II : mesangial proliferative lupus nephritis
    (メサンギウム増殖ループス腎炎)
    ステロイドの維持量〜中等量で完治可能。
  • Class IV : diffuse proliferative nephritis
    (びまん性増殖性腎炎)
    ステロイドと免疫抑制剤(サイクロフォスファマイド、ミコフェノール酸モフェチル、アサチオプリン)の組み合わせ。
  • Class V : membranous nephritis
    (膜性腎炎)
    著しい浮腫とタンパク尿。免疫抑制剤大量投与。

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