全身性エリテマトーデス(SLE)悩み相談室

全身性エリテマトーデス(SLE)でお悩みの多くの方から当研究所に寄せられたご相談内容の一部を掲載いたします(個人情報は抹消しております)。ご自分の今後の治療にご活用頂けたら幸いです。

Q5.18歳の娘です。微熱が続き、両方の指の関節が腫れてきました。検査の結果、リウマチ因子が陽性で、抗核抗体も弱いながらも陽性ということでした。関節リウマチあるいは全身性エリテマトーデス(SLE)の疑いがあるというドクターの話ですが、治らない病気なのでしょうか?

A.発熱(微熱)とともに関節の炎症症状が出ていますので、炎症性関節炎と考えます。上記の検査結果から考えますと、今後の経過によりますが、ご指摘の関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、あるいは一過性のウイルス感染による関節炎の可能性が最も高いと考えます。

以下にその理由を述べます。

炎症性関節炎にはこのほかにも多くの疾患がありますが、若年、体の両方の関節炎、リウマチ因子陽性、抗核抗体が弱陽性という結果から、敗血症性関節炎、強直性脊髄炎、乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、偽痛風などにみられる結晶沈着性関節炎などの疾患は除外できます。

リウマチ因子は関節リウマチ、ウイルス・細菌感染、悪性腫瘍、正常の人(おそらく潜在的に感染していると思われます)に陽性に出ます。

抗核抗体は、全身性エリテマトーデス(SLE)に特徴的ですが、肝炎、関節リウマチ、エイズなどでも陽性になります。正常人でも5%くらいは陽性に出ます。

現在の娘さまの諸症状が2カ月以内に消失すれば、一過性のウイルス感染による関節炎(ウイルス性関節炎)です。原因ウイルスは、肝炎ウイルス、HIVウイルス、風疹、おたふく風邪ウイルス、パルボウイルスなどです。

関節炎、発熱、あるいは関節外の症状が慢性的に持続している場合は、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病が考えられます。

今後の経過を観ていってください。


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