全身性エリテマトーデス(SLE)悩み相談室
全身性エリテマトーデス(SLE)でお悩みの多くの方から当研究所に寄せられたご相談内容の一部を掲載いたします(個人情報は抹消しております)。ご自分の今後の治療にご活用頂けたら幸いです。
Q10.31歳の女性です。SLE(全身性エリテマトーデス)で治療開始から10年になります。検査値や症状はプレドニンでだいたい治まっています。現在、息切れがひどく、疲労感が強いです。胸部のレントゲン検査では異常がなく、貧血のせいではないかと主治医に言われました。SLEは貧血になりやすいのでしょうか?
A.慢性病とくにSLEのような慢性炎症疾患では、貧血が起こり易くなります。血液検査では血清鉄の値が低下します(総鉄結合能も低下)。
これは慢性炎症反応のために、鉄が白血球の一種であるマクロファージに蓄積されるからです。おそらく、鉄は非常に強いフリーラジカル(活性酸素種)の元になるので、病原微生物を排除するためにマクロファージが利用していると考えています。
したがって、貧血の原因は「鉄の利用障害」です。
この場合、血液中の鉄が少ないからといって、鉄剤を投与しても貧血は改善しません。いくら鉄を体内に入れても、またマクロファージに蓄積されるからです。
SLEのような慢性炎症疾患による貧血の治療は、SLEの慢性炎症そのものを治療することで改善してまいりますので、ご安心ください。
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