インフルエンザの一般的な特徴・症状についてお話します。
現在、抗インフルエンザ薬にはノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル<オセルタミビル>、リレンザ<ザナミビル>があります。共にインフルエンザ感染48時間以内に投与すれば症状軽減までの期間が1日程度短縮する?という触れ込みです。
●健康な成人を対象に、2005年夏までのデータを検討したシステマティック・レビュー(Antivirals for influenza in healthy adults: systematic review. Lancet 2006; 367: 303-13.)があります。 ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル<オセルタミビル>、リレンザ<ザナミビル>共に)は、48時間以内に投与された場合にインフルエンザ確定例の症状軽快にわずかに有効ではあるものの、その実際的な意義については疑問符をつけています。結論では、季節性インフルエンザに対してノイラミニダーゼ阻害薬をルーチンに使用すべきではなく、パンデミック状況のときに他の公衆衛生的な対策と並行して用いるべきというものです。
●小児ではどうでしょうか? 12歳以下の入院していない小児を対象に、季節性インフルエンザの治療および予防の目的でノイラミニダーゼ阻害薬を使用して比較したランダム化比較試験(RCT)を対象として解析した論文が出ました(Neuraminidase inhibitors for treatment and prophylaxis of influenza in children: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. BMJ 2009; 339: b3172.)。
その結果は以下のようでした。
小児の季節性インフルエンザの治療および感染予防に対するノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルおよびザナミビル)の効果を検討した治療の論文では、症状の軽減または消失までの時間がわずかに(中央値で0.5〜1.5日)短縮していました。しかし、プラセボに比較して有意に短縮していた試験もあれば、有意性はみられなかった試験もあり、メタアナリシスという解析も行うことできませんでした。成人の場合と同じ結果であり、ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルおよびザナミビル)を積極的に使う理由はどこにも見当たりません。