<インフルエンザ医学最新ニュース35>

オーストラリアで昨冬タミフル耐性のH1N1インフルエンザが急増

日本は世界でも最も多く抗ウイルス薬のオセルタミビル(商品名:タミフル)が使用されています。タミフルに耐性を示す季節性インフルエンザの患者数が、2011年の冬にオーストラリアで急増していたことが世界保健機関(WHO)の研究者らの報告で明らかになっています(「New England Journal of Medicine」2011年12月29日号)。

豚インフルエンザで知られるパンデミック2009 A型(H1N1)インフルエンザウイルス株が引き起こしたような患者の急増は、オーストラリアの直近の冬(2011年5〜8月)に認められたといいます。

耐性ウイルスの繁殖は事態をさらに悪化させるだけですので、今後はタミフルの使用を禁止する声明をWHO自身が責任をもって発表するべきでしょう。

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→WHOインフルエンザ共同研究センターが2011年5〜8月に救急部門または集中治療室、一般開業医の治療を受けたH1N1型インフルエンザ患者182例(生後1カ月〜74歳)のウイルス検体を入手。全体で29例(16%)に、オセルタミビルとadamantineアダマンチン系薬剤(rimantadineリマンタジンおよびアマンタジン)の両方に耐性を示すH1N1が認められました。

その後の実験室試験では、耐性ウイルスの活動の重要な部分の半減に、非耐性株に通常処方するオセルタミビル濃度の500倍以上を要したが、耐性株はザナミビル(同:リレンザ)による治療には“完全な感受性”を示した。耐性を示した患者5例は5歳未満で、1例のみウイルス検体採取前にオセルタミビルを使用し、3例は2011インフルエンザワクチンを接種していました。

耐性のめられた症例は7月に多く、大多数が同国7番目の都市ニューキャッスルから半径30マイル(48km)以内、少数が最大都市シドニーでみられました。症例の一部は家族間で認められました。

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