<インフルエンザ医学最新ニュース28>
米国では小児に対して承認されている季節性インフルエンザワクチンには鼻腔噴霧用の三価生ワクチン(LAIV)と、注射用の三価不活化ワクチン(TIV)の2種類があります(生後24カ月以上の小児にはLAIV、生後6カ月以上の小児にはTIV)。
今回、2回の接種をいずれのワクチンで行うかについて試験を実施し、4通りのいずれの方法でも抗体反応は同等であることが報告されました(Journal of Infectious Diseases(2011; 204: 845-853)。
インフルエンザワクチンは、小児に対して“初回免疫”と“追加免疫”の計2回接種しています。1回目の初回刺激は免疫系に望ましい抗体反応を誘発するために、2回目の増強はこの免疫反応をさらに促進するために行います。
今回の研究で初めて、小児に対する季節性インフルエンザワクチン接種で、“初回免疫”と“追加免疫”で異なるタイプのワクチンを使用しても、適合する季節性インフルエンザ株に対して十分な予防効果が得られることが示されたといいます。
それならば感染の危険性のある生ワクチンは中止してもよいでしょう。私はこれにまったくワクチンをしなかった小児との比較を是非してもらいたいと思います。
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→今回、2005〜06年と2006〜07年のインフルエンザ流行期に、生後6〜35カ月の小児53例を対象に試験を実施。これらの小児はインフルエンザワクチンの接種をそれまでに受けたことがなかった。同博士らは、参加小児をほぼ同数の4群に分け、1群には適合するTIVを2回注射し、別の1群には適合するLAIVを2回投与した。他の2群では、LAIVとTIVを1回ずつ順序を変えて接種した。
試験の結果、4通りの接種パターンはいずれも安全で、誘導された抗体レベルも同等であることが明らかになった。しかし、免疫系のT細胞については明確な差が認められ、TIVのみを接種された小児ではインフルエンザに特異的なT細胞が検出されなかったのに対し、LAIVを1回以上接種された小児では、3種の重要なT細胞が顕著に増加していた。
T細胞反応がワクチンによるものか、インフルエンザウイルスへの自然曝露によるものかは、小児の年齢が増すと判別が困難になるが、今回の対象は全員3歳未満であったため、検出された3種のT細胞の急激な増加はワクチンによる効果であることを確信することができた。
LAIVの接種を1回のみ受けた小児のT細胞レベルは、同ワクチンの接種を2回受けた小児と同等であった。また、2種のワクチンを接種したときのT細胞反応の大きさに、接種順序による有意差は認められなかった。しかし、年少の小児ではLAIVの接種で喘鳴が発現することがあり、今回の結果から生後24カ月未満の小児では1回目はTIV、2回目はLAIVを接種するのが最善の治療方針となりうることが示唆された。