<インフルエンザ医学最新ニュース27>

MF59アジュバント不活化インフルエンザワクチン、乳幼児への有効性確認

新たなアジュバント製法によって開発された不活化インフルエンザワクチンについて、乳幼児に対する有効性が無作為化試験によって確認されたことが報告されました(N Engl J Med. 2011 Oct 13;365(15):1406-16)。

不活化インフルエンザワクチンは、乳幼児においては有効性が乏しいことが知られています。新たなアジュバントは水中油型乳剤のMF59で、成人用季節性インフルエンザに対する三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)のアジュバントとして1997年以降27ヵ国で利用接種が承認されています。

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→乳幼児に対する有効性を検討した無作為化試験は、2ヵ国2シーズンにわたって行われた。乳幼児(生後6ヵ月以上72ヵ月未満)におけるMF59アジュバントの三価不活化インフルエンザワクチンの有効性に及ぼす影響について検討した試験は、2回のインフルエンザ流行期にわたり、2007〜2008年シーズンにドイツ(654例)、2008〜2009年シーズンにドイツ(2,104例)、フィンランド(1,949例)の、合計4,707例の健常児を対象に行われた。

被験児は、MF59アジュバント添加ワクチン(ATIV)接種群、アジュバント非添加ワクチン(TIV)接種群、非インフルエンザワクチン接種(対照)群に無作為化され接種を受け、インフルエンザ様疾患に対する絶対効果と相対効果について評価された。インフルエンザ様疾患の確認はPCR法にて行われた。

なお接種間隔・回数はいずれも、28日間隔の2回で行われ、またアジュバント用量は年齢(生後6〜36ヵ月未満、36〜72ヵ月未満)により調整がされた。

PCR法にて確認されたインフルエンザ様疾患の発症率は、2回の流行期を合わせて、ATIV群0.7%、TIV群2.8%、対照群4.7%であった。

全インフルエンザ株110例中94例はワクチンと一致するH3N2ウイルスだった。それら(全インフルエンザ株)に対する絶対効果は、ATIV群86%(95%信頼区間:74〜93)、TIV群43%(同:15〜61)であり、ATIVのTIVに対する相対効果は75%(同:55〜87)だった。

対象年齢別にみた有効率は、ATIV群は、生後6〜36ヵ月未満児群79%(同:55〜90)、36〜72ヵ月未満児群92%(同:77〜97)であったが、TIV群はそれぞれ40%(同:−6〜66)、45%(同:6〜68)だった。

抗体反応はATIVのほうが高く、その状態は181日目まで持続した。

ATIVとTIVそれぞれの、全身反応・局所反応の発現率は、生後6〜36ヵ月未満児群においては同程度であったが、36〜72ヵ月未満児群では全身性イベントの頻度がATIV群では63%と、TIV群44%、対照群50%より高かった。重篤な有害事象は3群で同程度だった。

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