<インフルエンザ医学最新ニュース25>
A型インフルエンザウイルスは、人の体内に感染すると頻繁に変異しやすいため、単一の抗体では発病を抑えられないと考えられてきました。毎年のワクチンなどが効きにくいのもそのためです。
どんなタイプのA型インフルエンザウイルスにも反応して、働きを抑える抗体を、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)の黒澤良和学長ら研究グループが発見した。
研究グループは、1944、60、74年生まれの男性小児科医3人の血中から、68年に流行した香港かぜのA型ウイルスに反応する様々な抗体を抽出。その働きを解析した結果、74年生まれの医師が持つ抗体の一つが、変異せずに共通して存在するウイルス部位に結合し、発病を抑え込んでいることが分かったといいます。香港かぜ以外の別のタイプにも効果のあることも確認しています。
同大は「万能ワクチンの開発につながるもので、パンデミック(世界的大流行)が心配される新型ウイルスにも防御力を発揮する可能性がある」とみている。研究成果は、24日公開の米ウイルス学専門誌(電子版)に掲載されています。