<インフルエンザ医学最新ニュース14>
昨年世界的に流行した新型インフルエンザでは免疫力の強い青壮年層にも重症例や死亡例が出たが、もともと体内に持っていた季節性インフルエンザの抗体による異常な免疫反応が原因であることが、発表されました(ネイチャー・メディシン電子版12.6.2010)。
今回の研究では新型で入院した17〜57歳の54人の血液や肺の組織などを詳しく調べられました。その結果、過去に季節性に感染した際にできた抗体は、新型ウイルス とも反応することを確認。この抗体は新型ウイルスの感染を防ぐ力はないが、異常な免疫反応を起こし、肺や腎臓にウイルスたんぱく質などを蓄積する結果、重症化することを解明しました。
この現象は季節性ウイルスの感染では起きないが、1957年に発生した「アジアかぜ」で死亡した中年患者の肺で同じ症状が確認され、新型に特有の現象とみられるといいます。
この研究から導かられる大きな問題は、季節性インフルエンザのワクチン接種で抗体を作ると、豚インフルエンザに感染すると重症になるリスクが高くなるということです。この問題に、米国を中心としたインフルエンザ感染症のエキスパートたちはどう対処するのでしょうか。