<インフルエンザ医学最新ニュース23>
新型インフルエンザ〔パンデミック(H1N1)2009〕流行時における小学校での感染状況を調べた結果,男児から男児,女児から女児への同性間の感染が多かったことが報告されました(Proceedings of the National Academy of Sciences, USA(2011; 108: 2825-2830)。
今回の研究では,同じクラスの生徒間の感染が最も多かったものの,感染者の隣の席に座っても感染リスクが有意に上昇しないことも示されました。パンデミック?ではなかった豚インフルエンザですが、通常のインフルエンザと同じく、人口密度の高いところでは感染が起こるのは当たり前の話ですね。
学校や病院では集団感染が流行るのは当たり前で、取り立てて論文になるようなことなのでしょうか。医学論文もネタ切れの感がありますね。
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→米ペンシルベニア州のある小学校で,生徒たちの社会ネットワークがパンデミック(H1N1)2009の拡大にどのような影響を与えたのかを数学的モデルを用いて調査した。
対象は295の家庭から通学する370人の生徒(全校生徒数の81%)で,座席表,日課表,スクールバスの時刻表,保健室の記録,出席記録,質問票などを基にデータを収集した。どの生徒からどの生徒に感染したかを明確に同定することは不可能であるが,洗練された統計学的手法を用いて感染拡大パターンの確率的な再構成および異なる設定での感染率が推定された。
その結果,同性間の感染は異性間の感染より約3倍多いことが分かった。また,同じクラス内の生徒間での感染率は,異なるクラスの生徒間と比べて約5倍,異なる学年の生徒間と比べ約25倍であることも分かった。しかし,感染者の隣の席に座っていても,感染リスクが有意に上昇することはなかった。
研究対象の小学校は,流行が始まってから18日目に生徒の27%が症状を訴えた時点で閉鎖された。しかし,感染率はこの時点で既に低下しており,同博士らは「学校閉鎖は,感染拡大にほとんど影響しなかったであろう」と指摘している。
同博士は「感染の拡大を予測するには数学的モデルが有用であるが,モデルの正確性を得るためには,現実の世界でインフルエンザ感染がどのように拡大するかについてのデータを適用する必要がある。
今回の研究は,学校内での感染拡大について調べたこれまでで最も包括的な研究で,社会ネットワークがインフルエンザの感染拡大に及ぼす影響について知見を提供している」と説明。「今後,このデータを活用することで,公衆衛生当局がより効果的に流行病の管理ができるような正確なモデルづくりが可能となる。例えば,学校閉鎖が適切か,いつ閉鎖すべきか,学級閉鎖や学年閉鎖の方が良いのかといった判断をより正確にできるようになるだろう」と述べている。