自己免疫疾患の原発性シェーグレン症候群:hydroxychloroquine(ハイドロキシクロロキン)治療で有効性認められず
海外ではＳＬＥや原発性シェーグレン症候群といった自己免疫疾患に対する治療として、hydroxychloroquine（HQ：ハイドロキシクロロキン）という抗マラリヤ薬が使用されています。
今回、原発性シェーグレン症候群に対するHQの効果が、プラセボ対照で検討した試験で調べられ、効果は証明されなかったことが論文報告されました（2012ＮＩＨの政府主導臨床試験データ）。
原発性シェーグレン症候群は、 発症頻度が1,000人に1人で、眼や口腔の乾燥症状、疼痛、倦怠感が特徴的な全身性自己免疫性疾患です。原発性シェーグレン症候群患者の3割は全身性合併症を有するとされています。その原発性シェーグレン症候群患者に対して、HQは関節痛や筋痛、倦怠感を訴える場合に投与されています。
ＳＬＥの治療では、ＨＱ海外では広く使用されて、ステロイドからスイッチできるという可能性が示唆されていますが、原発性シェーグレン症候群に対する治療効果はないようです。ＨＱが自己免疫疾患全般に治療効果がある訳ではないということです。
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→今回、医師主導型臨床試験（academic trial）が行われた。組み入れ基準は、AECG（米国-欧州コンセンサスグループ）基準により診断された原発性シェーグレン症候群で、HQ治療歴のある者や重度の全身性徴候が見られる者は除外した。
120例がプラセボ群（64例）とHQ（400mg/日）群（56例）にランダムに割り付けられた。1次評価項目は、24週後の全般的良好反応。被験者によるVAS評価で、乾燥感・疼痛・倦怠感の3項目中2項目で30％以上の改善が得られた場合と定義した。
対象背景は平均年齢55.9歳、9割強が女性で、罹病期間は中央値5年、抗SSA抗体陽性率55.1％だった。
24週後、1次評価項目に達した患者の割合は、プラセボ群19.2％、HQ群19.6％と全く差がなかった〔オッズ比（OR）1.07、P＝0.9〕。乾燥感、疼痛、倦怠感のいずれのVASも両群で差は認められなかった。
2次評価項目のうち、欧州リウマチ学会（EULAR）シェーグレン症候群疾患活動性指標（ESSDAI）で見た全身性障害も両群で差はなかった（P＝0.6）。眼の乾燥感（Schirmer検査）や口腔の乾燥感（安静時唾液分泌量測定）もHQによる有意な改善は得られなかった。血清中のガンマグロブリンIgMはHQにより有意な低下が認められた（P＝0.01）ものの、患者質問票（SF-36、HAD、SSI、PROFAD）によるQOLや症状の評価では、HQの有意な効果は示されなかった。
以上のように、プラセボ対照RCTでHQの有効性は証明されなかった。なお、Gottenberg氏によると、HQはインターフェロン（IFN）阻害薬といえ、“IFN signature”（IFNにより誘導される遺伝子の発現が上昇している）患者群でHQが治療上の利益をもたらすかどうかについても現在、解析が進められているという。
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