潰瘍性大腸炎に対するステロイド処方
ガイドラインから逸脱した実態が明らかに
ハンブルク・エッペンドルフ大学病院一般医学研究所のMartin Scherer教授らが、ドイツの潰瘍性大腸炎患者に対してアンケートを実施したところ、患者の約30％がコルチコステロイドを服用していることが判明し、ガイドラインに沿った治療が行われていないことが論文報告されました（Zeitschrift für Gastroenterologie（2011; 49: 820-826）。
コルチコステロイドは長期間服用しないようにすべきで、ステロイドフリーの寛解を目指すことが推奨されています。それにもかかわらず、コルチコステロイドを服用している患者の割合がこれだけ高いのは問題であることが改めて指摘されています。軽度～中等度の急性増悪であれば、5-アミノサリチル酸だけで対処できることが多いことも指摘されています。自己免疫疾患にはステロイドという短絡的な発想は日本の医師だけではなかったのですね。
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→Scherer教授らは今回、胃腸科診療所、大学病院外来、自助グループを通じて、潰瘍性大腸炎患者444例を登録。これらの患者に対して、服用している薬剤に関するアンケートを実施した。対象者の大半は女性で、学歴が高く、有職者でした。
ドイツ消化器・代謝疾患学会（DGVS）のガイドラインでは、がん予防のためにすべての潰瘍性大腸炎患者に対して、5-アミノサリチル酸を生涯にわたり投与することが推奨されている。また、その際に5-アミノサリチル酸と免疫調節薬の同時投与を検討してもよいとされている。
しかし調査の結果、5-アミノサリチル酸を服用していると回答した患者は71％にすぎず、その一方で、コルチコステロイドを服用している患者が28％もいることが判明した。特に罹患期間が11年未満の患者では、コルチコステロイドの服用患者は36％に上った。
これに対して、免疫調節薬が処方されていたのは4分の1程度で、生物製剤が処方されているのは2～7％と極めて少なかった。鎮痛薬を服用している患者も15％と少なく、同薬は特に抑うつ症状がある場合に使用された。
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