自己免疫疾患の肺高血圧
自己免疫疾患の結合組織疾患（CTD）における肺高血圧の12カ月有病率は0.75％で、一般よりも明らかに高いことが欧州リウマチ学会（EULAR2011）で発表されました。
肺高血圧（PAH）は、進行性で致命的な疾患です。全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、および未分化結合組織疾患などの自己免疫疾患の患者さんが発症することが報告されています。
しかしながら、報告されている自己免疫疾患における肺高血圧（PAH）の有病率の推計は、主に専門的なセンターのいくつかのグループからのデータに基づくものでした。このデータに基づいて報告された2つの研究では一般集団におけるPAHの12カ月有病率は0.0045％と0.00155％でした。
今回、医療保険請求管理データベースの後ろ向き分析を行い、自己免疫疾患患者さん全般における肺高血圧（PAH）の有病率明らかにすることを試みられました。その結果、自己免疫疾患患者さんにおける肺高血圧（PAH）の12カ月有病率は0.75％と明らかに一般集団で報告された成績より高いことが分かりました。肺高血圧（PAH）によって、右心不全になりますので、自己免疫疾患患者さんの心臓、肺の機能には留意しておかなくてはなりません。
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→ 2003年1月1日から2009年12月31日までのThomson Reuters MarketScanの保険請求書および受診データベースとMarketScan Medicareのデータベースを用い後ろ向き分析を行った。
分析に用いる対象患者は、医療保険に2007年7月1日から2009年6月30日まで連続して加入していたことを条件とした。その上で、2003年1月1日から2009年12月31日までのデータベースから、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、および未分化結合組織疾患に相当する国際疾病分類第9版改訂版の臨床修正コード（ICD-9-CM）から膠原病患者を同定した。膠原病患者の中で肺高血圧（PAH）を持つ患者は、2008年7月1日から2009年6月30日までのICD-9-CM診断コードのPAHが、少なくとも入院患者で1つ、外来患者では2つあることで同定した。膠原病患者におけるPAHの有病率は、肺高血圧（PAH）患者数をサンプルの総数で除して算出した。
分析の結果、膠原病患者が9万33人同定された。そのうち肺高血圧（PAH）を認めた患者は673人おり、12カ月有病率は0.75％となった（95%信頼区間：0.69%-0.81%）。CTDの種類別でみると、全身性硬化症が4.22％と最も高く、皮膚筋炎が1.03％、全身性エリテマトーデスが0.59％などとなった。
肺高血圧（PAH）患者のうち87.52％は女性で、肺高血圧（PAH）と診断された時の平均年齢（標準偏差）は59（13.06）歳であった。主な併存疾患は、関節リウマチ（59.0％）、慢性肺疾患（38.2％）、鬱血性心不全（24.4％）、および糖尿病（20.4％）であった。
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