モノクローナル抗体治療薬が自己免疫疾患に有効
乾癬、ブドウ膜炎、関節リウマチ（RA）患者計60例を登録して行った研究の結果、これらすべてをsecukinumabというモノクローナル抗体を用いて治療できる可能性が示唆されたとScience Translational Medicine（2010; 2: 52ra72）に発表されました。
皮膚疾患の乾癬、眼球の炎症であるブドウ膜炎、手足の関節が腫脹を来す関節リウマチ（RA）は、いずれも自己組織に慢性の炎症が起こる自己免疫疾患です。
インターロイキン（IL）-17Aは自己免疫疾患の慢性炎症の中心的役割を果たしています。IL-17Aを阻害することで炎症が緩和されるか否かを検討するため、今回、乾癬、ブドウ膜炎、関節リウマチ（RA）患者計60例に対してIL-17Aを標的とするモノクローナル抗体secukinumabを投与しました。その結果、3疾患とも治療後に改善が認められました。
乾癬患者では鱗屑が減少して炎症性蛋白質の産生が低下し、ブドウ膜炎患者では眼球の炎症が軽減し、若干の視力改善が認められ、関節リウマチ（RA）患者では関節の腫脹が緩和されました。この結果を受け、secukinumabの自己免疫疾患に対する治療可能性を検討するための、より大規模な臨床試験が計画されています。
■本情報・記事の著作権は全て崎谷研究所に帰属します。許可なく複製及び転載などすることを固く禁じます。無断複製、転載及び配信は損害賠償、著作権法の罰則の対象となります。