血管炎症候群
血管壁の炎症を来たす病態の総称です。血管のサイズ（大型、中型、小型）によって疾患が分類されています。病態は、アレルギーの型のII~V型まで様々です。
血管炎症候群の疫学
結節性多発性動脈炎（顕微鏡的多発血管炎を含む）は、人口10万あたり1人未満（0.2~0.7）。男女比は１：１で、発症のピークは50~60代です。
大型血管炎である高安動脈炎は、5,000人（若年者）、側頭動脈炎は、690人（高齢者）の人口と推定されています。
血管炎症候群の分類
- 大型血管炎：高安動脈炎、側頭動脈炎（巨細胞性動脈炎）
- 中型血管炎：結節性多発性動脈炎、川崎病
- 小型血管炎：Ｗｅｇｅｎｅｒ 肉芽腫、アレルギー性肉芽腫性血管炎、顕微鏡的多発血管炎、Henoch-Schonlein紫斑病、特発性クリオグロブリン症、皮膚白血球破砕性血管炎
血管炎症候群の症状
- 初期症状：全身症状
- 発熱、倦怠感
- 局所の臓器症状
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- 小血管の障害によるもの
- 皮疹：下腿に好発します。紫斑は触知できます。
- 皮膚潰瘍
- しびれ（多発性単神経炎）
- 血尿、蛋白尿（腎臓の小血管の炎症）
- 肺胞出血（肺の小動静脈の炎症）
- 大型～中型の血管の障害によるもの
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 急性腹症、下血
- 腎機能障害
- 高血圧、脈なし病
- 小血管の障害によるもの
血管炎症候群の検査
- 一般検査
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炎症反応（CRP）、 血液検査（好中球増多、好酸球増多）炎症が持続すると血小板増多、貧血低アルブミン、高ガンマグロブリン血症
血清補体価の高値（血管炎の活動性が高いとき、悪性関節リウマチやクリオグロブリン血症などの免役複合体病のときは低値になる。） - 免疫学的検査
- 自己抗体
- 抗好中球細胞質抗体（ANCA）
- 顕微鏡的多発血管炎、Ｗｅｇｅｎｅｒ 肉芽腫、結節性多発性動脈炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎、壊死性半月体形成性糸球体腎炎
- 抗内皮細胞抗体(AECA)
- 結節性多発性動脈炎、Ｗｅｇｅｎｅｒ 肉芽腫、悪性関節リウマチ、川崎病、高安動脈炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎、SLE、多発性筋炎/皮膚筋炎
- 抗糸球体基底膜抗体（抗GBM抗体）
血管炎症候群の各論
- 結節性多発性動脈炎
- 発熱などの全身症状、関節痛、紅斑、紫斑などの皮疹、しびれ（多発性単神経炎）、腎機能障害、心不全、消化管出血などの多彩な症状。
- 顕微鏡的多発血管炎
- 結節性多発性動脈炎と同じ症状を呈します。腎機能障害と肺障害が特徴的です。
- 高安動脈炎
- 発熱などの全身症状、頭部の虚血症状（めまい、頭痛、失神）、大動脈閉鎖不全症、脈拍・血圧の左右差が著明です。
- 側頭動脈炎
- 拍動性頭痛。リウマチ性多発筋痛症を合併しています。
- Ｗｅｇｅｎｅｒ 肉芽腫
- 発熱などの全身症状、関節痛、紅斑、紫斑などの皮疹、しびれ（多発性単神経炎）、腎機能障害、心不全
- アレルギー性肉芽腫性血管炎
- 気管支喘息、下肢の紫斑、しびれ（多発性神経炎）、腹痛（消化管出血）などの症状があります。
- Henoch-Schonlein紫斑病
- 小児に好発します。小血管にＩｇＡ免疫複合体が沈着します。紫斑、しびれ、腹痛、関節痛といった症状を来たします。
- 特発性クリオグロブリン症
- 紫斑、皮膚潰瘍、末梢神経障害など
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