自己免疫疾患の治療研究センター

シェーグレン症候群

中年女性に好発する涙腺・唾液腺を標的として炎症を起こします。「目の乾き」「口の渇き」を主症状としますが、全身性の免役異常とも深い関係をもっています。EBウイルスやヒトＴ細胞白血病ウイルス（HTLV-1）などの感染症が引き金になっています。

二次的に起こる続発性シェーグレン症候群は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス（SLE）、強皮症、多発性筋炎、混合性結合組織病に続発して起こります。

シェーグレン症候群の疫学

日本では厚生労働省の発表（2002）で、７万８千人と報告されています。

実際には10万人以上と考えられています。（その理由として、関節リウマチ患者さんの約２０％にシェーグレン症候群（続発性）を合併します。原発性シェーグレン症候群はこのような続発性の２倍の頻度があります。）

男女比は１：１４で女性に多い

シェーグレン症候群の症状

初期症状：全身症状

発熱、倦怠感

乾燥症状

• 眼の乾燥（まぶしい、目が疲れる、目やにがたまる、涙がでない）
• 口腔・鼻の乾燥（味がわからない、口が痛む、虫歯が多くなった、鼻出血）

全身症状

• 皮膚症状として乾燥皮膚。環状の紅斑。
• 腎臓症状（間質性腎炎がおこります。まれに腎臓の糸球体（ろ過装置）に炎症が起こります。ループス腎炎（糸球体腎炎）とよばれます。最初は尿にタンパクや潜血が出ますが、炎症が進行すると、腎不全となります。）

呼吸器症状

• 気道乾燥による空咳。間質性肺炎。

消化器症状

• 嚥下障害（口腔・咽頭乾燥によるもの）
• 自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変の合併（約５％）

中枢神経症状

• 顔の痛みの感覚を司る三叉神経の障害が認められる場合があります。
• 無菌性髄膜炎なども併発します。

筋肉症状として筋肉痛（筋炎）

• 甲状腺の症状として慢性甲状腺を併発（２５〜４０％）
• 血管の症状として血管の炎症により紫斑、蕁麻疹、皮膚潰瘍、神経炎が起こる。

血液症状

• 白血球・血小板減少症・貧血が起こります。これらは骨髄に炎症が起こったものです。

悪性リンパ腫の合併

• 特に欧米では、原発性シェーグレン症候群に悪性リンパ腫の合併が５％に認められる。
• 日本人はそれほど多くない。

シェーグレン症候群の検査

一般検査

• 炎症反応（CRP）
• 血液検査

免疫学的検査

• 抗核抗体陽性（約80％）
  • 抗Ro/SS-A抗体(約７０％)
  • 抗La/SS-B抗体(約３０％)
  • リウマトイド因子（約７０％）

特異的検査

• 眼乾燥（シルマーテスト、ローズベンガルテスト、蛍光色素染色テスト）
• 口腔乾燥（ガムテスト、唾液腺造影、シンチグラフィー）
• 口唇唾液腺生検

シェーグレン症候群の予後

約半数は１０年以上経っても乾燥症状に著変はなく、臓器の症状も変化ない。

残りの半数は１０年の経過で新しい病変（間質性肺炎、癌、悪性リンパ腫、レイノ−現象、腎臓障害など）を発症する。

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