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9.食品表示違反95%非公表 根深い「安全軽視」体質の農水省

食品表示に違反、またはそのおそれがあるとして農林水産省が平成21年、日本農林規格(JAS)法に基づいて実施した処分が816件もあり、その中で公表されていたものは39件(命令、指示)しかなかったことが判明し、95%が非公表だったことになります。

非公表処分のほとんどを手がけたのは同省出先機関の地方農政局と地方農政事務所。20年の事故米の不正転売事件では出先機関と業者の癒着が表面化しており、食の安全をめぐる農水省の姿勢が厳しく問われます。

産経新聞が同省に加え、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州の7農政局と北海道農政事務所に、JAS法に基づく処分のうち非公表分を情報公開請求して開示されましたが、業者名や商品名などが黒塗りされ、ほとんどは詳細な内容までは分からなかったようです。

開示文書の中から具体的に明らかになった違反には、中国産タケノコ水煮を「福岡県産」としたり、遺伝子組み換え作物が原料に混入した可能性があるのに 「遺伝子組み換え不分別」の表示がないなど、明らかに事実と表示が違う事例が多数あったといいます。GMO食品はすでに私たちの胃袋に入っているのです(『日本のタブー』(KKベストセラーズ)優生思想)。賞味期限を1年以上改竄(かいざん)していた業者もあったようです。

さらに農薬や化学肥料使用が厳しく制限される有機農産物で、必要な認定を受けず「有機」「オーガニック」と表示した果物や野菜などの事例が少なくとも115件。コメの生産年や精米日などが違うものは51件、牛肉の原産地、部位などが違うものも49件あったようです。

農水省の指針では、違反だが常習性がなく改善策を講じている場合は「指導」、明確な違反ではないが、違反を引き起こすおそれがあると判断すれば「厳重注意」としてともに非公表となっています。しかし、公表対象である「指示」以上と「指導」との間の判断基準は必ずしも明確ではありません。ここが役人の裁量となるわけです。権力乱用も甚だしい。非公表処分のうち、本省分 は6件、残る771件は農政局・農政事務所が手がけています。一刻も早く農水省を解体すべきです。

20年に発覚した米粉加工販売「三笠フーズ」(大阪市)が農薬汚染された事故米を食用として転売した事件では、地方農政事務所が倉庫の検査を96回も行いながら不正を見抜けなかったうえに、事務所元課長が業者側から接待を受けたことが発覚。業者との癒着や甘い調査実態が判明した。

農水省表示・規格課は「非公表処分には業者のケアレスミスも含まれる。業者を慮(おもんぱか)って非公表にしたことはない。出先機関の調査に問題はない」としている。

細川幸一・日本女子大教授(消費者政策)の話「『食品安全』は『消費者の安全』のはず。その意識がなく、消費者の安全を軽視する姿勢が非公表につながっている。出先機関と業者の癒着が疑われ、出先機関の存在意義も問われかねない」

【用語解説】日本農林規格(JAS)法

農林水産物・食品の品質、原産地などの適正表示を定めた法律。悪質な産地偽装業者に直接罰則を科す規定を盛り込んだ改正法が昨年4月に成立。罰則は個人 が「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」から「2年以下の懲役か200万円以下の罰金」と強化され、改善を指示した業者名はすべて公表することも明記 された。昨年9月に消費者庁が発足し、農水省との共管になった。

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