気になるニュース

ちょっと気にかかっていたニュースをお伝えいたします。ニュースの内容は医学だけでなく、環境、テクノロジーなどすべての分野に及びます。

４２．米国でCT検査施行率が15年間で3倍に

米国の6つの大規模総合医療保険加入者を対象とした調査を行い，1996年から2010年の15年間に高度画像診断の施行数が大幅に増加し，CTで約3倍，MRIで約4倍になっていること，CTなどの施行増加に伴い放射線の推定被ばく量もかなり増大していることが報告されました（JAMA（2012; 307: 2400-2409）。

画像検査施行率が増加した原因として

が挙げられていました。日本ではとくにＣＴ，ＭＲＩ機器の台数が他の先進国と比べて多すぎると指摘されて久しいです。日本と比較しても患者数とＣＴ台数の関係では、ＣＴ機器の少ない米国でも、ＣＴ施行率がこのように高くなっています。ＣＴ機器の台数が多いことは日本のＣＴ施行率の高さの原因のひとつになっているのは間違いないですが、技術進歩、患者さんの要求、医師の防衛医療として不可欠な存在になっているのです。

ＣＴの場合は被ばく量が多いことが問題ですが、これに関しては１年の累積被ばく量を設定する必要があると考えます。

結果の詳細はコチラ

→今回の研究では，米国の異なる地域における6つの大規模総合医療保険の電子記録データを解析し，加入者における画像技術の利用傾向と，それに関連した放射線の推定被ばく量を調査した。医療記録から，検査の種類ごとに放射線被ばくを推算することができた。1996年から2010年まで年間約100万〜200万人の加入者データを登録し，これらの加入者に対して追跡期間内に計3,090万回の画像検査が施行され（1人平均1.18回に相当），そのうち35％が高度画像診断（CT，MRI，核医学検査，超音波検査）であった。

X線検査と血管造影／蛍光透視法の施行率は，全期間を通じて比較的安定しており，前者で年間1.2％の増加，後者で年間1.3％の減少であった。一方，高度画像診断の施行率は著明に上昇しており，CT検査で約3倍（1996年の登録者1,000人当たり52件から2010年には149件に増加。年間増加率7.8％），MRIで約4倍（同17件から65件に増加。年間増加率10％），超音波検査で約2倍（同134件から230件に増加。年間増加率3.9％）になっていた。核医学検査の全体的な施行率は，同期間に1,000人当たり32件から21件に減少していた（年間減少率3％）が，2004年以降，PET検査の施行率が登録者1,000人当たり0.24件から3.6件に増加していた（年間増加率57％）。

また，CT施行率の増加は，推定放射線被ばく量の増大に関連していることも分かった。1人当たりの有効線量は1996年の1.2ミリシーベルト（mSv）に対し，2010年には2.3mSvに増加。さらに，登録者全体では，年間被ばく量が高線量被ばく（20〜50mSv）と超高線量被ばく（＞50mSv）に相当する者の割合は，15年間で約2倍に上昇し，2010年には登録者の2.5％が高線量に，1.4％が超高線量に被ばくしていた。これを画像検査施行患者で見た場合，2010年の高線量被ばく者は6.8％，超高線量被ばく者は3.9％を占めていた。

ページトップへ