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３８．臓器移植者の全がんリスクは一般人口の2倍
腎臓，肝臓，心臓，肺などの固形臓器移植を受けた患者が，さまざまな種類のがんを発症するリスクは一般人口の2倍であるの研究結果が報告されました（JAMA（2011; 306: 1891-1901）
固形臓器移植のレシピエントは，免疫抑制や発がん性ウイルス感染のためにがんリスクが高いことは周知の事実です。リスクが増加していたがんは32種類もあり、感染に関係したがん（肛門がん，カポジ肉腫など）や感染とは無関係のがん（メラノーマ，甲状腺がんなど）もあっことは非常に興味深いです。
「臓器移植」という治療法自体に疑問を投げかける結果となりました。
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→今回，固形臓器移植後に発症するがんのパターンを総合的に検証する試験を実施した。1987～2008年の全米移植レシピエント研究登録（U.S. Scientific Registry of Transplant Recipients）と，全米13州と諸地域のがん登録から固形がん移植レシピエントに関する関連データを用い，一般人口と比較した移植レシピエントのがん相対リスクおよび絶対リスクを求めた。
対象移植数は17万5,732件。レシピエントの大半は男性（60.9％）で，移植時の平均年齢は47歳だった。移植臓器で多かったのは腎臓（58.4％），肝臓（21.6％），心臓（10.0％），肺（4.0％）だった。追跡期間中に悪性腫瘍を発症した移植レシピエントは1万656例で，解析の結果，一般人口と比べたがん全体のリスクは2倍であった。
リスクが増加していたがんは32種類で，感染に関係したがん（肛門がん，カポジ肉腫など）や感染とは無関係のがん（メラノーマ，甲状腺がんなど）もあった。発がんリスクが特に高かったのは非ホジキンリンパ腫（1,504例），肺がん（1,344例），肝がん（930例），腎がん（752例）などで，これらを合わせると移植レシピエントにおけるがんの43％を占めるが，米国の一般人口では21％である。
非ホジキンリンパ腫リスクは，一般人口に比べすべての臓器のレシピエントで上昇していた。肺がんでは，肺レシピエントでのリスク上昇が最も高かったが，他の臓器（腎臓，肝臓，心臓）のレシピエントでもその上昇は認められた。一方，肝がんリスクは肝臓レシピエントでのみ上昇していた。腎がんリスクは腎臓レシピエントで最も高かったが，肝臓と心臓のレシピエントでもその上昇が見られた。