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３５．週5本の炭酸飲料で攻撃的
米国では，1978年に当時のサンフランシスコ市長George Mosconeと市議会議員Harvey Milkが殺害される事件が発生。裁判では「被告人は普段，健康に気遣う人物であったが，精神的に追い詰められジャンクフードを食べるようになり，それが原因で，善悪の判断能力が低下した状態にあった」という主張が認められ，大幅な減刑となりました。この前例は後に“トゥインキー・ディフェンス”と呼ばれるようになる。トゥインキーとはクリーム入りスポンジケーキのようなスナック菓子のことで，米国では特に若者に人気があります。
今回、米国の10歳代の若者を対象とした調査を実施し、炭酸飲料（ダイエット飲料は除く）を1週間に5缶以上摂取する若者では，攻撃的な行動を取る傾向があることが論文報告されました（Injury Prevention（2011; オンライン版）。攻撃的な行動には，銃刀類の所持や，友人，家族，他の若者に暴力を振るうといった行為が含まれます。
これらの清涼飲料に含まれるフルクトース、アスパラタームやカフェインが直接の原因となっているのかもしれませんが、今回の研究では検討されなかった他の因子が，清涼飲料の高摂取と暴力的行動の双方の原因となっている可能性も勿論考えられます。生活習慣の負のスパイラルというところでしょう。
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→今回の研究は，ボストンの公立学校22校で10歳代の若者1,878人を対象に実施された調査のデータに基づく。同調査は，9～12学年（14～18歳）を対象に隔年実施しているBoston Youth Surveyの一環である。
対象者は過去7日間の炭酸飲料摂取量を回答。355mL缶を1単位と見なし，人工甘味料を用いたいわゆる“ダイエット”飲料は除外した。摂取缶数に基づいて，1週間に4缶以下（低摂取群）と5缶以上（高摂取群）の2群に分けた。
次に，過去1年間の友人や家族，交際相手に対する暴力歴，および銃刀類の所持歴に関して質問し，炭酸飲料の高摂取と暴力的行動との潜在的関連を年齢，性，人種，BMI，飲酒，登校日前夜の平均睡眠時間，家族そろって食事をする頻度などの交絡因子を調整して解析した。
対象の約30％が高摂取群に分類された。低摂取群と比べ，高摂取群では過去1カ月に1回以上の飲酒・喫煙を行った者の割合が有意に高かった。
しかし，飲酒・喫煙と他の因子を調整後も，炭酸飲料の高摂取は銃刀類の所持，家族，交際相手，他の若者に対する暴力とそれぞれ有意に相関していた。炭酸飲料を週に5缶以上摂取することで攻撃的行動を取る確率が9～15％ポイント高かった。これは，飲酒や喫煙による影響と同等である。
さらに，炭酸飲料摂取量による分類を2群ではなく4群に細分して検討したところ，炭酸飲料の摂取量と銃刀類の所持，家族，交際相手，他の若者への暴力とのいずれの間にも，明白な用量依存的関係が認められた。「銃刀類所持歴」，「家族への暴力歴」，「交際相手への暴力歴」，「他の若者に対する暴力歴」は，1週間の炭酸飲料摂取量が最低の群（1缶以下）では，それぞれ23％，25％，15％，35％であったのに対し，摂取量が最高の群（14缶以上）では，43％，45％，27％，59％であった。