気になるニュース
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３２．環境中の抗菌薬が耐性菌の原因に
ヒトや動物を通じて放出された環境中の残留抗菌薬は、ごく低濃度も耐性菌を増やす可能性があることが論文報告されました（PLoS Pathogens（2011; 7: e1002158）。
細菌の抗菌薬への耐性は，世界各国で問題となっています。従来，耐性菌はヒトや動物などに対する感染症治療において，高用量の抗生物質が投与される際に発生すると考えられてきました。しかし，今回の研究結果では，下水道網，湖，川などの環境中で検出されるごく低濃度の抗菌薬でも，耐性菌の増加に関与することが示唆されています。
今回の論文では、ヒトまたは動物の治療に使われる抗菌薬の投与量のなんとほぼ50％は，代謝されずに活性体のまま尿から体外へ排泄されることを指摘されています。これらの抗菌薬は，下水システムを介し水中や土壌中に拡散します。その後さらに，長期間，活性を維持した状態で存在するため，これが耐性菌発生を引き起こします。こうした耐性菌は食物などを通じてヒトと動物に感染します。
スウェーデンだけで，毎年推定10～20トンもの抗菌薬が活性を保持したまま，感染症の治療を受けるヒトや動物から尿中に排泄されと報告されています。これに基づけば，世界中で毎年10万トン超もの抗菌薬が環境中に排出されると推測されています。
バクテリアを抗生物質で制御するという治療法の限界が見えてきたのではないでしょうか？
部分最適は全体のメリットにならないばかりか、あとで大きなしっぺ返しがやってくるという自然法則を頭でなく腹に落し込まなければなりません。