気になるニュース
ちょっと気にかかっていたニュースをお伝えいたします。ニュースの内容は医学だけでなく、環境、テクノロジーなどすべての分野に及びます。
３．スーパー耐性菌について
インドや欧米などで感染が広がっている、抗生物質がほとんど効かない新型耐性菌（スーパー細菌）が、独協医科大病院に入院していた患者さん（インドから帰国）から検出されたことが2010年9月6日わかりました。日本で感染者が確認されたのは初めてのようです。
スーパー耐性菌などと大げさに報道されている菌は、ＮＤＭ１（ニューデリー・メタロ・βラクタマーゼ１）というほとんどの抗菌薬を分解してしまう酵素を持つ菌のことです。
今回は大腸菌だったようです。酵素の遺伝子などは細菌どうしで頻繁にやりとりしていますので、どの菌でも理論的にはこの酵素を持つことは可能です。
この酵素を備えた細菌がインドで発見された後、同国で手術を受けた患者を通じて英国や米国に広がったとされています。そのため「ニューデリー」というようなふざけた命名を行っているのでしょうが、インド政府が激怒するのは当たりまえです。 サルモネラ菌や赤痢菌など毒性の強い菌に耐性が備わる危険性を警戒し、世界保健機関（ＷＨＯ）が各国に注意を呼び掛けています。また例の「パンデミック」騒動を演出したＷＨＯですね。
帝京大病院（東京都板橋区）の入院患者さん４６人が複数の抗生物質が効かない細菌「多剤耐性アシネトバクター」に感染していた問題で、厚生労働省と東京都が立ち入り検査をしたことも大きく報道されています。この続けての報道はなにか胡散臭いですね。
多剤耐性菌は今に始まったことではありません。抗生物質を乱用する医療機関ではどこでも発生しています。ただ、ＩＣＵなどで死亡し、他の人に感染がそれほど拡大しなかったため、大きな問題にはならなかったのです。
アシネトバクター菌はいわゆる弱毒菌であり、通常は病原性を示しません。おそらくどこの病院でも調べれば、検出されるでしょう。きちんとコストと時間をかけて調べないと出ない弱毒菌に、治療上どれくらいの意味があるのでしょうか？そのコストの負担は一体誰（私たちの税金に決まっています）が担うのでしょうか？
多剤耐性菌そのものが問題ではなく、病院という感染の巣窟場所、および抗生物質の乱用という現代社会の作り上げたシステム自体が根本問題なのです。これこそ は「医原病」（医療によって作られる病気）の典型です。ただし、これも人為的・意図的な細菌兵器でなければという前提ではあります。
しばらくしてその特効薬が出たというニュースがでれば、その菌の出所がおぼろげながら分かるでしょう。ちなみに独協医科大病院に入院していた患者さんは回復し、退院され、感染の拡大はないようです。