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24.たばこの発がん物質:放射性ポロニウム

日本禁煙学会は10月17日、煙を吸い込んだ人の気管支分岐部に集中的に沈着して肺がんを引き起こすとされる「ポロニウム210」など、たばこに含まれる放射性物質の測定を求める要望書と、ポロニウムの危険性などを訴える緊急声明を、厚生労働相にあてて提出しました。

要望書では、▽東北・関東地方の葉タバコに含まれるセシウムやポロニウムなどの放射性物質の測定▽製品化されたたばこのポロニウムの測定-を、緊急声明では、たばこの煙や灰などを放射性物質と認識すべきとし、喫煙スペースの撤廃などを求めています。

ポロニウムは最も毒性の高い元素と言われています。危険性が高いため、十分な医学的なデーターが無いのが現状です。体内に取り込まれても問題が生じない量は、わずか、7ピコグラム(1兆分の7グラム)であると推定されています。ポロニウム210から放出される放射線(α線)はウランの約100億倍です。自然界に存在するポロニウムにも種類があり、その多くは短命で数日で壊変してしまいますが、危険性の高いポロニウム210は半減期が約138日あり、1億分の4.7グラムで50%致死線量の被爆を受けます。

ポロニウム210からのα線を他の物質に照射して加熱し、その熱で電気を起こす原子力電池は、主にロシア製の人工衛星に搭載されています。2006年11月、英国に亡命中の元ロシア連邦保安庁情報部員リトビネンコ氏が死亡し、尿の中からポロニウム210が検出されました。死因はポロニウムによる体内被曝だと推測されています。

ポロニウムを発見したキューリー夫人は白血病で亡くなっていますが、その主要な原因もポロニウム210と考えられています。

1960年代にタバコとタバコ煙にポロニウム210が含まれている事が証明されました。さらに、アメリカのタバコ会社が調査結果の中で、喫煙者のポロニウム210の摂取の事実を1968年発表しました。その後、各国より非喫煙者に比べ喫煙者のポロニウム210の摂取量の多さが報告されています。

タバコは土壌から放射性の重金属を非常に効率的に葉に取り込み濃縮する性質を持ちます。タバコに含まれるポロニウム210は、現在、大気や化学肥料によるものと推測されています。一日に1,5箱のタバコを吸う人は一年間でレントゲン撮影を300回した事になるという記事が2006年12月1日付のニューヨークタイムスに掲載されています。タバコによるフリーラジカルの発生、およびそれに続くガンなどの発生は、内部被ばくが原因である可能性が高いのです。

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