気になるニュース
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１．ビスフェノールAは心血管疾患・代謝性疾患にも影響
尿中のビスフェノールA（BPA）濃度が高まると，心血管疾患（CVD）や2型糖尿病，肝酵素異常のリスクが上昇することが発表されていました（JAMA（2008; 300: 1303-1310））
BPAは，プラスチック製の食品容器などに広く使用されている化学物質で，2003年には世界中で200万トンが製造され，年間6～10％も需要が伸びているとされています。
実は、『ミネラルウォーターショック』（エリザベス・ロイド、河出書房新社）の中で、ミネラルウォーターのペットボトルに含まれるビスフェノールが水の中に溶出したり、あるいは埋め立てられたあとに土壌中にビスフェノールが溶出したりする危険性が述べられています。
この2008年の論文の中で、米国人の90％以上からBPAが検出されており，食品を通してだけでなく，飲料水や歯科治療用のシーラント，皮膚への曝露，ハウスダストなどを通して，広くかつ持続的にBPAの曝露を受けていることが指摘されています。
動物実験ではすでにBPAの有害事象が認められたため，低用量BPAの恒常的な曝露によるヒトの健康への影響が懸念されていました。今回の研究は，初めて大規模集団を対象にBPAレベルの関連を調査し，BPAの「正常（安全）レベル」を 検討したものです。
2003～2004年の米国保健栄養調査（NHANES）のデータを用いて，1,455人（18～74歳）を対象に，成人の尿中BPA濃度と健康状態の関係を分析しました。
その結果，年齢と性で調整後の平均BPA濃度は，心血管疾患（CVD）や糖尿病罹患者で高いことが明らかになりました。BPA濃度が1標準偏差（SD）上昇するごとに，狭心症や冠動脈疾患（CHD），心筋梗塞を合わせたCVDリスクが39％上昇しました。
（BPA濃度を四分位に分類すると，最高四分位群のCVDのオッズ比（OR）は，最低四分位群に対し2.89であった。同様に，最高四分位群の糖尿病リスクのORは，最低四分位群に対し2.43であった。さらに，BPA濃度が高いと，3種類の肝酵素において臨床的な異常値が認められた。その他の疾患との相関は認められなかった。）
全世界のBPA生産量は，年間約70億ポンド（約320万トン）にのぼります。BPAを含んだ製品がごみ埋立地や水界生態系に廃棄されている現状 および食品や飲料の容器による直接曝露による健康被害を考えると、ペットボトルを含め現在の生活の基盤を成り立たせている石油化学製品を持続可能な代替品に変える必要があるでしょう。オイルメジャーなどの多国籍企業のあくなき利益追求こそにすべての問題の根があるのです。