自然治療通信
４.「環境因子」（衛生）
みなさん、こんにちは。崎谷研究所の崎谷です。
今回は医療の歴史のなかでも画期的な大発見をお伝えいしたいと思います。
今でも看護師の中では伝説となっている人物がいます。
みなさんもよくご存じのナイチンゲールです。
ナイチンゲールはイギリスの貴族に生まれたにもかかわらず、戦争の野戦病院で働く看護師の仕事を天命としました。
1855年のことです。トルコの野戦病院では、コレラとマラリアで多くの兵士たちが命を落としていました。その野戦病院は、不潔きわまりない病室、不衛生なベッド、詰まった下水、腐りかけた食物などで悪名高い病院でした。
ナイチンゲールは、その病院でまっとうな食事を出し、清潔なシーツを使い、排水管の詰まりを除去し、窓を開けて換気をするなど、病院の環境改善をはかりました（記録によるとわずか１週間のうちに、手押し車二百十五台分の汚物を運び出し、１９回も下水を洗い出し、病院の敷地内に転がっていた馬二頭、牛一頭、犬四十四匹の死骸を埋葬したといいます。すさまじいですね）。
1855年2月の時点では死亡率が４３％だったものが、ナイチンゲールの環境改善により４％へと減少したのです。実はナイチンゲールはイギリスでも第一級の数学者たちの指導を受けていて、統計の大切さを分かっていたのでした。
実際、病院に入院した兵士とそうでない兵士の死亡率が20倍以上であることも証明したのです。また、兵舎で暮らす兵士と一般市民の死亡率の比較も行い、年間死亡率が２倍も差があることを突き止めました。つまり、病院や兵舎という不衛生きわまりない場所での感染などで命を落としていたことがナイチンゲールによって明らかにされたのです。
その当時の主流派の医学では「衛生」の概念などなく、医師たちに猛反発を受けました。しかし、これを統計学的に数値として事実を示すことで主流派の医師たちも納得せざるを得なかったのです。
環境を変えることで病気が治ることを統計学で証明した最初の人物がナイチンゲールだったのです。
彼女は医学に「統計学」と「衛生」という環境因子の概念を持ち込んだのです。ただの使命に燃える従軍看護師ではなかったのですね。
この「衛生」という概念は、発展途上国の問題だけではありません。私たちの人体に不可避に感染するウイルスや細菌・寄生虫に対しても非常に有効な考えです。
私が奨励しています徹底した歯磨きや歯間ブラシの使用は、口腔内の雑菌がウイルスの繁殖にも一役を買っているために感染に対しては非常に有効です。
ナイチンゲールの残した偉大な遺産を私たちも有効に引き継いでいきましょう。