自然治療通信

11.インフルエンザパンデミックについて２

みなさん、こんにちは。崎谷研究所の崎谷です。

今回は、私たちの健康を守るうえで、さらに2010年のパンデミック騒ぎの客観的事実を掘り下げていきます。

2009年10月8日のニューイングランドジャーナル医学（NEJM）誌に掲載された「AZIC調査」は、ニュージーランドとオーストラリアのインフルエンザ感染全ICU入院事例を分析し、数々の要因を考察しています。

2,500万人の人口の内、722人が診断の結果H1N1豚インフルエンザと確定され、ICU収容となりました。全体では856人がインフルエンザ・ウィルスで収容されましたが、11.3％は亜型のないA型であり、4.3％は季節性のインフルエンザでした

この調査では、ウィルス性肺炎で収容された人数も分析し、以下のような事実を明らかになっています。

ウィルス性肺炎で病院収容された人数（年別）

ご覧の通り、2009年に実際にウィルス性肺炎で入院した人は、前年より32人減少しています。そして大半の人は基礎疾患がある上で二次的に他の合併症を起こして死亡しています。

また、平均的な人が、最終的にICU収容まで行き着く危険性は35,714人に1人（0.00285％）であり、信じられないぐらい低いリスクだったことも明らかになっています。実際にICUに収容された年齢構成を見ると、25歳から49歳の層が最も多く、生後1歳までの乳幼児は、人口当たりの収容率が高く、死亡率も高い結果でした。

カナダの調査、そしてアメリカの調査で判明した驚くべき事実の一つに、ICU収容・死亡リスクをもたらすより重要な要因は、「肥満」だったということがあります。太り過ぎの人は、正常な体重の人に比べると、ICU収容率が6倍高い結果となっています。

肥満は、慢性炎症（内臓脂肪からの炎症性物質）のためにインスリン耐性（抵抗性）とメタボリック（代謝）症候群の発生率が高いことと関係していますが、この両方とも感染の重症化リスクを増大させるものです。たとえ病原性の低い今回のような豚ウィルスであっても重症化する可能性が高くなるのは当然です。

また喫煙歴や免疫力低下している人に発症しやすいのも当然です。

さらにCDC（米国疾病センター）のデータには、豚インフルエンザと報告されている症例の内、本当にH1N1型ウィルスであるのは、実は極めてわずかだったことが示されていました。例えば、ジョージア州では報告症例のたった2％がH1N1（97％がH1N1陰性）、アラスカ州では報告症例のたった1％がH1N1（93％がインフルエンザ陰性で、5％が季節性インフルエンザ）、カリフォルニア州では報告症例のたった2％が H1N1（12％が他のインフルエンザ・ウィルスで、86％がインフルエンザ陰性）であったことを明らかにしています。

CDCの最新発表によると、CDC自身の調査により、全国で検査された12,943件の標本の内、26.3％の症例のみがH1N1変異株ウィルスに陽性であり、それと同時に99.8％の標本は他の型のインフルエンザ・ウィルス（その多くは例年の季節性インフルエンザ）に陽性であったと報告されていることが明らかになりました。

どうりで途中から検査しなくても症状だけで診断するというような訳の分からないことを言い出した理由がこれで分かりました。

今や、CDCはウィルスの型を判別していません。大半の症例は他の要因が沢山あるにもかかわらず、肺炎、入院、死亡は何でもH1N1のせいにしています。実際に、CDCは原発性肺炎の大半をH1N1によるものと分類しています。恐ろしい統計操作です。

CDCは、毎年36,000人がインフルエンザおよび関連合併症で死亡していると発表しています。今までのところ、（CDCのデータをそのまま信じるならば）900人の死者と21,829件の肺炎が発生しています。

これは36,000に遥かに及びません。皮肉にもパンデミック宣言された年が、歴史上最もインフルエンザの死者が少ない年として記録に残ってしまったのです。

事実、CDCとWHOのデータによれば、世界的にみて、過去にH1N1で死亡した人は、季節性インフルエンザと比べると遥かに少ないことが明らかになっています。

人間の脳の認知部位は、二つの状況で良好に働かないと言われています。その二つとは、「恐怖」と「怒り」です。「恐怖」と「怒り」に圧倒されると、おかしな判断をしてしまいます。

そして「数字に弱い」という特徴を持っています。

この人間の弱い大脳の性質を利用して、統計数字を少し手加減し、「恐怖」を演出するだけで簡単に「パンデミック」騒ぎが作り出されるのです。

実は現在の社会では、ヒトとモノの行き来のグローバル化が加速されています。したがって、局地で発生した新たな感染症（新興感染症）がすぐにパンデミックになる可能性は非常に高い社会になっています。

しかし、いつも淡々と生活習慣改善を地道に行い、心身を整えていれば、危険を事前に察知でき、世間の喧騒に惑わされることはありません。

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