自然治療通信
１.「対処療法では慢性病は治らない」
みなさん、こんにちは。医師の﨑谷です。
今回は、対処療法（その場しのぎの治療）を詳しくお話いたします。
対処療法とは何でしょうか？
それは、痛い、痒い、熱があるなどの訴え（症状）を和らげるための治療のことです。
これは患者さんに感謝されます。
今一番困っていることを取り除いてくれるのですから・・・・・・。まあ生活の質を高めてくれるため非常に有用でもあります。
しかし、問題は症状というのは氷山の一角であるということ。
つまり、病気の本体は水面下でうごめいているということです。
症状を和らげることは、最初は良いのです。
しかし、それだけを続けていくと最後には取り返しのつかないことになってしまいます。
骨折しているのに、痛み止めをしてごまかしていると、いくらでも骨折している部位を使用しますね。それで、さらに骨折部位が拡がったり、悪化したりします。
それと同じで、ガン、慢性炎症疾患などの慢性病で対処療法ばかりしていると、病気自体は勝手に進行してしまいます。
例を挙げましょう。
リウマチ・膠原病などの慢性炎症疾患では、抗炎症剤というものが使用されます。
これを服用すると、関節は腫れや全身の痛みなどの炎症が一時的にマシになります。
しかし、これを続けていくと、病変部位にとどまらず、全身の血流が悪くなります。
栄養は血液によって運ばれますから、血流がストップすれば、あらゆる臓器に影響を及ぼします。
最終的には、他の部位まで悪くなり新たな病気をつくる・・・・
こういった悪循環になります。
６０代の膠原病の女性で、長期間ロキソニンやボルタレンなどの抗炎症剤を使用していた方がおられました。今までなかった頭痛や不眠が出てきて、腎臓障害までおこされました。また、慢性頭痛を持病にもっておられる女性に長期間『セデス』という痛み止めを投与していたために、腎不全になってお亡くなりになった症例も見ました。
以前に『バイオックス』（COX２阻害薬）という新しい抗炎症剤が消化管の副作用がないという触れ込みで出ましたが、心筋梗塞発症を高めるために発売中止となっています
このように大変ありがたい対処療法は、長期間やってはならない治療なのです。対処療法は病気によっては大変有用です。しかし、その使い方を心得ないとかえって害になる治療なのです。