医薬品の副作用の症状Ⅱ

薬剤熱

薬剤熱とは、薬剤与薬により引き起こされた発熱のことです。

<薬剤熱の発症機序>

  1. アレルギー
    薬剤を抗原とした免疫機序の関与により発熱する。日常診療の中で最も問題となることが多く、しばしば発熱の原因として見過ごされ誤診されることも多い。
  2. 薬理作用に起因し、治療の結果として発熱するもの
    例えば、抗腫瘍剤を使用し、腫瘍組織壊死によって生ずる発熱。あるいはヘルクスハイマー反応 (抗生物質により死んだ梅毒菌体による炎症反応)などがその例です。
  3. 薬剤による体温調節機構の変化に起因するもの
    アトロピンの発汗低下作用、カテコールアミンの血管収縮作用などの熱放射障害、あるいは甲状腺ホルモンによる基礎代謝の増加など。これらは通常、与薬量がきわめて大量である場合にのみ問題になる。
  4. 患者側の特殊な条件(素因)に基づくもの
    例えばG6PD欠損症でのプリマキン与薬時の発熱、麻酔薬による悪性高熱症等
  5. 薬剤与薬時の合併症によるもの
    例えば、静注による静脈炎などで、薬の本来の作用とは無関係なもの。

<薬剤熱の原因薬剤として頻度の高いもの>

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