医薬品の作用機序と薬理動態V

医薬品の薬理動態について

5.医薬品の生体内での変化

ほとんどの医薬品は肝臓、腎臓、肺、腸管などの臓器で代謝されて、排泄しやすい水溶性になります。したがって、体内の水分が非常に重要になります。脱水であれば、医薬品の代謝物の排泄が滞るために、副作用が起こります。

ほとんどの医薬品が代謝されると薬効のない代謝産物になり、排泄されます。しかし、なんらかの薬理作用をもつ代謝産物が産生される場合があります。たとえば、睡眠薬、抗不安薬とよばれるベンゾダイアゼピン系薬物にジアゼパム(セルシン)があります。これは代謝された産物が長期作用型の中枢神経抑制薬となります。

また薬理作用がないプロドラッグが代謝されてはじめて薬理作用をもつ医薬品となるように設計されたものもあります。

生体内では医薬品の大半は肝臓で代謝されますが、大別して2つの過程に分かれます。

  1. フェーズ1
    酸化還元、加水分解が主に肝臓の細胞内のサイトクロームP450という酵素によっておこなわれます。アルコールはアルコールデハイドロゲネースという酵素で酸に代謝されます。
    サイトクロームP450は抗けいれん剤、リィファンピシン(抗結核剤)、ステロイド、慢性アルコール服用によって誘導されます。つまり、サイトクロームP450が多くできるために、医薬品の代謝能力が高くなります。期待したほど薬効がないのは、これらの医薬品との飲み合わせがないかチェックしましょう。
  2. フェーズ2
    抱合とよばれる作用です。肝臓のグルクロン酸抱合が代表で、医薬品が胆汁中に排泄されます。

6.医薬品の排泄

腎臓で尿として排泄されます。血液中のタンパク質と結合している薬剤は尿として排泄されません。腎臓の血流量や腎臓の機能によって医薬品の排泄量が変化します。当然、腎臓の機能が障害されていれば、医薬品あるいはその代謝物が蓄積することになります。

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