80歳以上のアルツハイマー型認知症（AD）患者さんと健康人で脳機能・形態学的差は縮まる

世界の年齢別人口区分を見ると，85歳以上の人口が急速に増加しています。アルツハイマー型認知症（AD）に見られる脳の萎縮や認知機能の変化に，年齢がいかに大きな影響を及ぼしているかを調べた結果、アルツハイマー型認知症（AD）に関連した認知機能障害や脳の形態学的な変化は，60〜75歳の患者に比べて80歳以上の超高齢者群で小さいことが論文報告されました（Neurology（2011; 77: 713-721）。

大脳皮質と大脳全体は加齢とともに萎縮するため，高齢になるほどアルツハイマー型認知症（AD）患者さんと健康人の脳の差は小さくなります。そのため，80歳以上の軽度アルツハイマー型認知症（AD）は見過ごされてしまう可能性があると傾向しています。

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→Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative（ADNI）研究のデータを用いて，AD患者105例と認知症がない健康人125例を（1）60〜75歳の高齢群（2）80〜91歳の超高齢群—の2群に分けて，言語能力や注意力，情報処理能力などの認知機能と，脳MRI検査による海馬容積，局所皮質の灰白質厚を比較検討した。

その結果，全般的な認知機能は両群で同等だったが，MRI所見で認められるアルツハイマー型認知症（AD）に関連したパターンの変化率は，高齢群に比べて超高齢群で小さかった。両群それぞれでアルツハイマー型認知症（AD）患者と健康人を比較したところ，実行機能や記憶の想起，注意力，情報処理速度において，高齢群に比べて超高齢群で健康人との差が小さかった。また，大脳皮質と大脳全体の萎縮も超高齢群の方が小さかった。

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