高齢女性の睡眠呼吸障害が認知機能障害・認知症リスク上昇と関連

低酸素状態を示す睡眠呼吸障害（SDB）を有する高齢女性では，軽度認知機能障害（MCI）や認知症の発症率が高いという研究結果が論文報告されました（JAMA（2011; 306: 613-619）。

睡眠呼吸障害（SDB）は，睡眠からの度重なる覚醒や間欠的な低酸素血症を特徴とする障害で，高齢者には珍しくなく，最大60％にこの障害が見られます。

睡眠呼吸障害（SDB）に関係する有害な健康アウトカムは多く，高血圧，心血管疾患，糖尿病などとの関連が指摘されています。

睡眠断片化や睡眠時間ではなく，低酸素状態が軽度認知機能障害（MCI）や認知症と関連するという今回の結果は，睡眠呼吸障害（SDB）が認知機能障害を促進する機序についてのヒントとなりうると述べられています。

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→終夜睡眠ポリグラフ検査（ポリソムノグラフィー）で評価した睡眠呼吸障害（SDB）とその後のMCIと認知症診断との関連性を検討した。対象は，Study of Osteoporotic Fracturesのサブ研究として2002年1月から2004年4月の間に終夜睡眠ポリグラフ検査を受けた女性298例（平均年齢82.3歳）で，試験参加時点では認知症ではなかった。SDBの定義は，無呼吸・低呼吸指数（睡眠時の1時間当たりの無呼吸と低呼吸の平均回数）が15以上とした。認知の状態（正常，MCI，認知症）は2006年11月〜08年9月に収集したデータに基づいて判断した。低酸素状態，睡眠断片化，睡眠時間を，SDBと認知機能障害を結び付ける基礎的条件として調べた。

298例中105例（35.2％）がSDBの基準に合致した。平均4.7年の追跡期間後，107例（35.9％）がMCIあるいは認知症を発症していた〔MCI60例（20.1％），認知症47例（15.8％）〕。SDBのない女性のうち60例（31.1％）がMCIあるいは認知症を発症したのに対し，SDBを有する女性では47例（44.8％）と多かった。また，SDBの存在とMCIまたは認知症の発症率増加との間に関連性が認められた。さらに，さまざまな人口動態学的危険因子で調整後も，低酸素状態（酸素飽和度低下指数15以上）と，合計睡眠時間に占める無呼吸・低呼吸の割合が7％超であることは，MCIあるいは認知機能障害の高罹患率と関連していた。

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