睡眠呼吸障害で軽度認知障害，認知症の発症リスクが倍増

高齢女性を対象とした前向き研究で、睡眠呼吸障害があると軽度認知障害（MCI）や認知症の発症リスクが倍増することが論文報告されました（JAMA 2011; 306: 613-619）。

一方，今回の研究では睡眠断片化や睡眠時間とは関連がなかったといいます。 しかし、睡眠呼吸障害（無呼吸が断続的に起こる）が起こると睡眠断片化や睡眠が妨げられるために、この結果は不完全だと思います。

睡眠不足の結果、神経細胞の新生や修復を促進している脳由来神経栄養因子などの栄養因子の分泌が低下します。この結果、脳の委縮が起こりますので、睡眠そのものの障害が問題だと考えます。

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→米国の多施設コホート研究Study of Osteoporotic Fractureのサブスタディ参加者を前向きに調査した。同研究では，2002〜04年，認知症のない298人の高齢女性（平均年齢82.3歳，SD 3.2）が睡眠ポリグラフ検査を受け，無呼吸低呼吸指数（AHI）15以上が睡眠呼吸障害とされた。

1次評価項目は，2006〜08年のデータに基づく認知機能（正常，MCI，認知症）。多変量ロジスティック解析により，年齢，性，BMI，教育，喫煙状況，糖尿病や高血圧の有無，薬剤の使用（抗うつ薬，ベンゾジアゼピン系薬，非ベンゾジアゼピン系抗不安薬）と，ベースラインの認知機能を調整因子として，睡眠呼吸障害とMCI，認知症との関連を調べた。関連のメカニズムを探るため，低酸素症，睡眠断片化，睡眠時間についても調査した。

分析の結果，非睡眠呼吸障害群（193人）と比べ，睡眠呼吸障害群（105人）ではMCIもしくは認知症の発症のリスクが高く，調整後オッズ比は1.85（95％CI 1.11〜3.08）であった。ベースラインの認知機能スコアで調整すると，オッズ比は2.36（同1.34〜4.13）とさらに上昇した。

また，低酸素症の指標となる「酸素飽和度低下指数（ODI）15以上」と「無呼吸や呼吸低下が睡眠時間の7％超」は，いずれもMCIや認知症のリスクと関連しており，調整後オッズ比は1.71（同1.04〜2.83），2.04（同1.10〜3.78）であった。ベースラインの認知機能スコアで調整後も結果は同様であった。

睡眠断片化（1時間当たりの覚醒指数；AI，中途覚醒までの時間）や総睡眠時間と認知障害の間には有意な関連はなかった。

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