50〜60歳時点の大量喫煙でアルツハイマー病などのリスクが2倍以上に

50〜60歳で過重喫煙をしていた人はおよそ20年後の認知症リスクが上昇するという結果を発表しました（Arch Intern Med10月25日オンライン版）。

喫煙は、がんや心血管疾患、呼吸器疾患など数々の疾患リスクを増大させることはよく知られている一方で、パーキンソン病のような一部の神経変性疾患のリスクを低下させるとの報告があります。

今回は、50〜60歳までに1日2箱以上の喫煙をしていた人では非喫煙者に比べ、アルツハイマー病（AD）など、すべてのタイプの認知症リスクが2倍以上に上昇することが確認されました。やはり、タバコは百害あって一利なしです。

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→今回、検討の対象となったのは米カリフォルニア北部の医療プログラム会員で、1978〜85年の調査に参加した2万1,123例。参加当時の年齢は50〜60歳だった。

対象者の平均年齢が71.6歳に達した1994〜2008年6月31日の追跡期間中に、全体の25.4％に当たる5,367例が認知症と診断された。5,367例中AD患者は1,136例、脳血管性認知症患者は416例であった。

1日2箱以上喫煙していた場合の認知症およびAD、脳血管性認知症それぞれのサブタイプにおけるリスクは、非喫煙者に比べすべて2倍以上となっていた。認知症〔補正後※ハザード比（AHR）2.14、95％CI 1.65〜2.78〕、AD（同2.57、1.63〜4.03）、脳血管性認知症（同2.72、1.20〜6.18）。以前喫煙していた人あるいは1日半箱以下の喫煙者ではリスクの上昇は見られなかった。

なお、喫煙と認知症の間に人種および性による差はなかった。喫煙は脳卒中の確立されたリスクであり、脳血管性認知症においても同様のメカニズムが 寄与することが知られている。同氏らは、喫煙により生じる酸化ストレスや炎症が血管、神経変性の経路を介してADの進展にも影響しているのではないかと考 察している。

今回の検討について、同氏らは「50〜60歳における相当量の喫煙が、あらゆる認知症と関連することを多人種から成る大規模コホートで調査した初めての検討ではないか」と評価。大量かつ長期間の喫煙に対し、脳の免疫が誘導されることはないことが示唆されたと結論付けている。

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