DASH食、運動、カロリー制限  高血圧を伴う肥満成人の神経認知機能を改善

DASH食(低脂肪の乳製品、低コレステロールで高炭水化物の食品、果物と野菜の摂取に重点を置く食事法)に運動とカロリー制限を組み合わせると、高血圧を伴う肥満成人の神経認知機能が食事制限や運動を実践しなかった人に比べて改善したと発表しました（Hypertension（2010; オンライン版）。

DASH食は低脂肪の乳製品、低コレステロールで高炭水化物の食品、果物と野菜の摂取に重点を置く食事法で、米国立心肺血液研究所（NHLBI）により実施されたDietary Approaches to Stop Hypertension試験に由来します。

DASH食は、日本食に近く、食習慣も含めた生活習慣改善が認知症の発症を予防することが証明されました。

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→今回のランダム化比較試験では、高血圧による神経認知機能低下リスクを有する成人において、DASH食、運動、カ ロリー制限が神経認知機能に及ぼす効果を調べた。

Blumenthal教授らは男女124例（平均年齢52歳）を、（1）DASH食に有酸素運動を加えた体重管理プログラムとカロリー制限を組み合わせた総合管理群（2）DASH食単独群（3）食事制限や運動なしの通常管理群―の3群に割り付けた。降圧薬を服用している被験者はいなかった。有酸素運動は指導下で毎週3回、30分間の運動を実施しました。

その結果、総合管理群では以下の効果が見られた。

1. 神経認知機能の改善
2. ４か月の研究期間中の著明な収縮期血圧（SBP）低下（16mmHg）と拡張期血圧（DBP）低下（10mmHg）
3. 他群に比べて心血管系の状態が改善
4. 研究終了時に平均8.6kgの体重減少（他群では体重減少は認められず）

同教授は「加齢に伴う神経認知機能低下を遅らせるだけでなく逆転させるうえで、今回の研究結果は重要である。特に、認知症やアルツハイマー病を発症しやすい人にとって大きな意味を持つ可能性がある」と述べている。

被験者は軽度〜中等度の高血圧を有し、SBPが130〜159mmHg，DBPが85〜99mmHg，平均血圧が138/86mmHgであった。 3分の2が女性で、約60％が白人、約39％がアフリカ系米国人であった。被験者のBMIは25〜40で、最低6.8kgの過体重であった。

神経認知機能は、実行機能、記憶、学習、精神運動速度の検査を含む一連の神経心理学的検査を用いて評価し、4か月に及ぶ治療プログラムの前後に実 施した。

体重管理プログラムには2種類の方法を用いた。1食分の量＋カロリーを制限する管理法や摂食パターンの改善法を含む行動変容法による従来法 と、Appetite Awareness Trainingと呼ばれる食欲を意識した訓練法である。

Appetite Awareness Trainingは、「何を食べるか」に加えて「どれだけ食べるか」について、より具体的な指導を行うために開発された自己管理法である。被験者は中等度 の空腹感と満腹感を自覚して、これらの体内からの合図を用いて摂食行動を管理することを学習した。

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