アルツハイマー病予防には食生活改善が強く寄与

地中海食に多く含まれる不飽和脂肪酸やビタミン類を多く取っている人がそうでない人に比べ、アルツハイマー病（AD）のリスクが有意に減少するとの前向きコホート研究の結果をArch Neurolオンライン版（2010; 67）に発表しました。

地中海食とはここでは、不飽和脂肪酸やビタミンB、Eなどの多いサラダドレッシングやナッツ類、魚、トマト、鶏肉、フルーツやアブラナ科の野菜、緑黄色野菜などをさします。これらを良く見ていくとその中心は植物の「ファイトケミカル」と青魚類に多い「ＥＰＡ、ＤＨＡ」などの不飽和脂肪酸であることが分かります。

これらを積極的に摂取し、飽和脂肪酸を含む高脂肪の乳製品、赤身の 肉や内臓肉を減らした食事がアルツハイマー病リスクの減少に適していることが示されました。

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→今回、Washington Heights-Inwood Columbia Aging Project（WHICAPS）のコホートにおける検証が実施された。同研究では、地中海食でアルツハイマー病（AD）リスクが低下することが報告されている。しかし、従来 の報告では地中海食に含まれるどの栄養素が神経変性に影響するのかはわかっていないほか、同コホートにおける地中海食のコンプライアンスの違いによる影響 を排除できないなどの課題があったという。

そこで、これらの点を解決するために、同氏らは食事からAD発症と関連が指摘される7つの栄養素を分別し、その合計量を正確に算出するための分類表を作成、縮小ランク回帰モデル（reduced rank regression；RRR）による解析を行った。RRRは糖尿病や冠動脈疾患、がんなどと食事パターンの関連を解析するために用いられているが、神経 疾患の分野で適用されるのは初めてだという。

認知症のない、65歳以上の2,148人に対し、栄養面の情報収集のほか1.5年ごとに神経学的・精神神経学的評価が前向きに実施された。

3.9年の追跡期間中、253人がアルツハイマー病（AD）を発症した。アルツハイマー病（AD）発症と関連が指摘される7つの栄養素の摂取量における最高三分位群では、年齢や教育レベ ル、人種、性のほか喫煙やカロリー摂取量、合併症、APOEε4アレルといった変数を補正した後もなおアルツハイマー病（AD）発症のハザード比が最低三分位に比べ有意に低下 していた（0.62、95％CI 0.43〜0.89、トレンドP＝0.01）。

同氏らは、今回の検討からアルツハイマー病（AD）の発症予防には食事パターンの改善が強く関連することがわかったと結論。と述べている。

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