血中レプチン高値が認知症とAD発症に保護的に作用

血中レプチン高値の高齢者は認知症とアルツハイマー病（AD）の発症リスクが低いことを示すデータが、米ボストン大学などのグループにより発表されました（JAMA 2009; 302: 2565-2572.）。

レプチンは、脂肪組織から分泌されるタンパク質で、食欲の抑制や体脂肪蓄積の増加に伴ってエネルギー消費を増大させる作用があるダイエット物質です。

高齢のアルツハイマー病（AD）モデル動物で、レプチンによる海馬におけるシナプス可塑性増強、βアミロイド排泄促進、記憶機能改善作用が示唆されています。Framingham Heart Studyのオリジナルコホートで認知症のない785例（平均年齢79歳）を対象に、1990?94年に血中レプチン値を測定。2007年まで追跡して認 知症とアルツハイマー病（AD）D発症との関係を検討しました。

また、1999?2005年に認知症のなかった生存者198例に脳MRI検査を施行。総脳容積と側脳室下角容積（海馬容積と逆相関）を評価しました。

中央値8.3年の追跡で111例が認知症を発症し、うち89例がアルツハイマー病（AD）でした。解析の結果、レプチン高値は認知症とアルツハイマー病（AD）の発症リスク低下と関係していました（レプチン値1SD上昇当たりのハザード比は認知症全体が0.68、ADが0.60）。これは、12年間の追跡におけるアルツハイマー病（AD）絶対リスクがレプチン値 最低四分位では25％であるのに対し、最高四分位では6％であることに相当しました。

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