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アンチエイジング:外見を向上させる“ライフスタイル”薬

白髪、薄いまつ毛や頭部の脱毛、顔面のしわなどの、外見を向上させる薬剤が作られています。現在このような“ライフスタイル”薬市場が世界的に急成長しています。

元は前立腺肥大の治療薬であったプロペシア(一般名:フィナステリド)は、1997年に男性型脱毛症の治療薬として承認されています。ボトックス(ボツリヌス 毒素)は当初は眼筋の痙攣(けいれん)緩和に使用されていましたが、2002年に眉間や額のしわの治療薬として承認されました。また、1990年代に緑内障治療に用いられたLatisse(※日本国内未承認)は、まつ毛が濃くなることから2009年に美容目的で使用されるようになりました。現在開発中の白髪防止薬も、このような薬剤の1つに加えられる可能性があります。

多くの医療者はこれについて、正常な状態を「医療化(medicalizes)」していると危惧しています。

米国食品医薬品局(FDA)では、処方薬に「美容」や「ライフスタイル」という区分を設けておらず、いずれの処方薬についても癌(がん)や心疾患用薬剤 同様に科学的データや臨床試験に基づく評価を行っているとのことです。米国の食品・医薬品・化粧品法では、薬剤は法的な医薬品の定義を満たす必要があり、その一部は使用目的によって決定されることになっています。

しかし、美容目的のものでも、副作用のない薬剤はほとんどないということは銘記しておかなければなりません。例えば、ロレアル社製の新しい白髪防止薬は色素沈着を変化させるため、メラノーマ(黒色腫)の診断に困難を来す可能性があることが危惧されています。

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