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“老化細胞”の除去でアンチエイジング:加齢による疾患を防止

マウスの実験で、身体の老化した細胞(body's old cells)を除去することにより、加齢による疾患の発症を遅らせ、老齢期を元気に過ごせることが論文報告されました(Nature、オンライン版11月2日)。

老化の機序には多数の説がありますが、その1つとして、加齢とともに老化細胞が蓄積し始め、周囲の正常な細胞の機能を低下させる老化蛋白(たんぱく)やその他の因子を産生するというものがあります。老化を早めるよう遺伝子操作したマウスの老化細胞を除去すると、残った組織の健康状態が向上し、性能が改善されることが判明したといいます。

老化細胞の数は、ヒトの高齢者で最大15%を占めます。研究グループは、マウスの老化細胞を除去するため、p16と呼ばれる蛋白の追跡子(tracer)に着目。p16は細胞の老化をもたらす一連のステップの引き金となる可能性があるとされ、若く健康な細胞には発現しないが、加齢とともに組織内に増えてくると考えられています。今回、このp16を用いて、老化細胞内の「自殺遺伝子(suicide gene)」の一種を活性化させました。

老化を早めたマウス2群を用い、1群はマウスの典型的生存期間である15カ月を通して老化細胞を除去し、もう1群については加齢による障害が十分に進行するのを待ってから、数カ月間の老化細胞除去を行いました。その結果、生涯にわたり処置したマウスには、白内障、筋肉量や筋力の低下などの加齢による問題がみられなかったのに対し、高齢期に老化細胞除去を行ったマウスでも、加齢による健康問題の進行を遅らせることができたほか、活動レベルの大幅な改善もみられたといいます。

さて、この知見を人間に応用することは可能でしょうか?老化細胞のみを特定し、そこの特定の遺伝子のみをターゲットにするというのであれば、ガンの遺伝子治療にみるように、あまり期待はできないでしょう。

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