DHAとEPAはテロメア短縮を遅延させて細胞の老化を防ぐ可能性
ω-3脂肪酸(DHA,EPA)が冠動脈疾患(CHD)のテロメア長の短縮を遅くさせることを報告しました (JAMA、2010; 303: 250-257))。
これまでさまざまな臨床試験で心血管疾患の発症・進展予防効果が確認されているω-3脂肪酸。魚食の多い日本などの国で、心血管疾患による死亡が少ないことなどから注目されるようになりました。
2000〜02年に症状の安定したCHDを発症、カリフォルニア州の医療機関を独歩受診した外来患者を対象に前向きコホート試験を実施。追跡期間は中央値6年(5.0〜8.1年)。
ベースライン時とフォローアップ開始から5年時点に白血球を採取し、テロメアの長さを測定、DHAとEPAの血中濃度の合計(DHA+EPA値)との関連を調べました。
その結果、DHA+EPA値の最低四分位群でテロメア長の短縮が最も早かった〔0.13 telomere-to-single-copy gene ratio(T/S)units over 5 years;95%信頼区間(CI)0.09〜0.17〕。一方、最高四分位群におけるテロメア長の短縮は最も遅かった(0.05 T/S units over 5 years;95%CI 0.02〜0.08,P<0.001 for linear trend across quartiles)。
なお、DHA+EPA値が高いほど、ベースラインからのテロメア長短縮の割合が少なかったほか、DHA+EPA値が1標準偏差上昇するごとにテロメア長短縮のリスクが32%減少していた(補正後オッズ比0.68,95%CI 0.47〜0.98)。
白血球のテロメア長は細胞の寿命を表す新規マーカーであり、心血管疾患の重症度や致死率を予測することが報告されています。
DHAとEPAは慢性炎症を抑えるω-3脂肪酸です。これが老化、アンチエイジングに関わるテロメアにまで関係しているのは驚きです。
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