更年期障害の治療3
●更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)の現状:
米国において2000年以前は、ホルモン補充療法(HRT)は、動脈硬化を抑制するということが報告(Nurse’s Health Study)され、主に閉経後の女性において虚血性心疾患の予防目的で奨励されていました(閉経後の女性の約40%。日本では2%程度)。
2000年以後は、米国のNIH(公的研究機関)が、WHIという更年期以後の米国女性の生活の質に関する疾患の研究をしました(前向き、無作為二重盲検法)。
その結果、更年期障害に対してホルモン補充療法(HRT)を受けた群では、受けなかった群より、心筋梗塞29%、脳卒中41%、静脈塞栓111%、乳がん26%増加しました。その一方で、大腸がん37%、大腿骨頸部骨折34%減少していました。これはリスクの方が高いということでホルモン補充療法(HRT)は下火になっています。
ところが低用量エストロゲン投与や経皮エストロゲン投与では、心・脳血管障害が低下することも判明し、更年期障害の諸症状を抑えることもできるため、ホルモン補充療法(HRT)の中身の見直しがなされています。
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