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片頭痛と脳病変進行に関連はなし

片頭痛を有する男女のMRI所見を9年前のものと比べて比較した結果、女性では深部白質病変の発生が高率にみられたが、その他のMRIで確認されていた脳病変の進行は有意にはみられなかったことが、また男性ではあらゆるMRI既往脳病変の進行との関連がみられなかったことが論文報告されました( JAMA. 2012 Nov 14;308(18):1889-97)。

先行研究で片頭痛とMRI脳虚血病変との関連が示されていました。しかし、今回の9年間のフォローアップ研究では片頭痛の回数や頻度と病変進行や認知症との関連も認められませんでした。片頭痛は慢性炎症疾患ですので、長期的にはさまざまな合併症が出てくる可能性がありますのでさらに長期間の研究結果が望まれます。

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→今回、片頭痛のある平均年齢57歳男女を対象にMRI所見を9年前のものと比較しました。片頭痛を有する(前兆ありなし含む)男女のMRI所見を9年前のものと比べて、新規病変発生が高率にみられるか、病変部位の進行はみられるか、また認知低下との関連を調べています。対象は、オランダで行われている住民ベースの前向き観察研究CAMERA(Cerebral Abnormalities in Migraine, an Epidemiological Risk Analysis)-1スタディの参加者で、片頭痛群[ベースライン平均年齢57歳(範囲:44~71歳)、女性69%]と、対照群(片頭痛・年齢・性で適合)について追跡しました。両群被験者は全員、2000年にMRI検査を受け、2009年にも全員に脳病変の進行を確認するためのMRI検査の紹介が行われています。

2回の検査を完了したのは、片頭痛群203/295例、対照群83/140例であり、年齢、性、高血圧、糖尿病、教育レベルで補正後に両群の比較が行われました。主要評価項目は、MRIで認められた深部脳白質病変、テント下腫瘍病変、後側循環系梗塞様病変でした。認知機能の変化も評価しています。

テント下腫瘍病変や後側循環系梗塞様病変の進行、認知機能の変化との関連は認められず片頭痛群の女性145例のうち122例(77%)が、対照群は55例のうち33例(60%)が、深部脳白質病変の進行がみられました[補正後オッズ比(OR):2.1、95%信頼区間(CI):1.0~4.1、p=0.04]。

片頭痛とテント下腫瘍病変進行との有意な関連はみられませんでした。片頭痛群では21例(15%)、対照群では57例中1例(2%)で進行がみられました(同:7.7、1.0~59.5、p=0.05)。

新たな後側循環系梗塞様病変の発生は、片頭痛群203例中10例(5%)、対照群は83例中0例(0%)でした(p=0.07)。

片頭痛の回数や頻度と病変進行との関連も認められませんでした。

深部脳白質病変がある群での認知機能スコアの変化についても有意な差はみられませんでした(片頭痛群-3.7vs. 対照群1.4、95%CI:-4.4~0.2、補正後p=0.07)。


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