ボツリヌス毒素Aの頭痛に対する効果は限定的

ボツリヌス毒素Aの頭痛に対する効果はそれほど大きくなく限定的なものであるとのメタ解析結果が，論文報告されました（JAMA2012年4月25日号Jackson JL, et al. JAMA 2012; 307: 1736-1745.）。

ボツリヌス毒素Aは米食品医薬品局（FDA）により慢性片頭痛の予防治療に認可されています。

今回の研究では，成人の頭痛予防におけるボツリヌス毒素Aの有効性を，プラセボまたは他の薬剤と比較したランダム化試験のメタ解析を行っています。1カ月の頭痛の頻度が15回未満を反復性，15回以上を慢性頭痛としています。

解析の結果，ボツリヌス毒素Aはプラセボと比べ慢性連日性頭痛と慢性片頭痛の発生を減少させていました。しかし，その効果は月に2〜2.5回程度の減少にとどまり，限定的なものでした。反復性片頭痛と慢性緊張型頭痛については，プラセボを上回る効果は認められませんでした。

ボツリヌス毒素Aの片頭痛に対する効果はバルプロ酸，トピラマート，アミトリプチリンと差はありませんでしたが，慢性緊張型頭痛の回数を減らす効果はメチルプレドニゾロン注射より優れていました。

ボツリヌス毒素A群はプラセボ群と比べ眼瞼下垂，皮膚のつっぱり感，感覚異常，頸部硬直，筋力低下，頸部痛が多く見られたのは当然の結果といえます。

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