軽視できない女性の片頭痛，うつ病や乳児疝痛リスクが上昇

片頭痛は、遺伝傾向が強く，一般に男性よりも女性で頻発するとされています。家族歴が8〜9割にも上るとの研究報告もあります。

米国神経学会は公式サイトで，女性の片頭痛に関する2つの研究報告について紹介しています。片頭痛の母親から生まれた児では乳児疝痛発症リスクの上昇が認められ，片頭痛の女性ではうつ病発症リスクの増加が確認されたといいます。

まず一つ目の研究です。健康な新生児がミルクなどを飲んだ後に激しく泣く乳児疝痛がピークを迎えるとされる出生2カ月後の定期健診時に，初産の女性154人を対象に面接を実施しました。片頭痛の既往および乳児疝痛パターンを集計。乳児疝痛は臨床定義に該当するか否かも確認しました。

その結果，乳児疝痛の発症は，片頭痛の既往がない女性の児では11％で認められた一方，片頭痛の既往がある女性の児では29％と，約2.5倍高いことが分かったといいます。これを受けて，乳児疝痛の発症が，片頭痛に移行するといわれる小児周期性症候群の初期発現である可能性を示唆しています。

もうひとつの研究です。うつ病未発症の女性3万6,154人を対象に，片頭痛とうつ病発症との関連を検討しました。

対象者を，（1）前兆を伴う活動性片頭痛，（2）前兆を伴わない活動性片頭痛，（3）過去に片頭痛あり（1年以内を除く），片頭痛未発症—の4群に分けたところ，6,456人が（1）〜（3）に該当し，片頭痛を経験していました。

平均14年追跡した結果，3,971人がうつ病を発症した。片頭痛未発症者と比較して，片頭痛経験者ではうつ病発症率が約40％高い傾向が認められたといいます。前兆の有無による差は確認されなかったようです。

片頭痛もうつ病も慢性炎症がその病態ですので、この結果はそれを裏付けるデータとなるでしょう。

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