「前兆を伴わない片頭痛」のほとんどが一過性

スイス・チューリッヒ市在住の一般住民における頭痛の究明を目的に，30年間追跡し、前兆を伴わない頭痛は高頻度であったにもかかわらず，ほとんどが一過性であり，症状の出現が15年以上認められたのは20％であったことが報告されました（BMJ 2011; 343:d5076）。

スイス・チューリッヒ市在住の一般住民4,547例のうち591例（登録時の年齢19〜20歳）を対象に，1978〜2008年の30年間，頭痛の有病率やタイプなどを調査しました。

その結果，前兆を伴う片頭痛の年間発症率は0.9％（男性0.5％，女性1.4％），前兆を伴わない片頭痛は10.9％（同6.8％，15.1％），緊張型頭痛では11.5％（同10.4％，12.5％）でした。

累積発症率は，前兆に伴う片頭痛3.0％（同2.1％，3.9％），前兆を伴わない片頭痛36.0％（同20.7％，50.7％），緊張型頭痛29.3％（同34.1％，24.6％）でした。

前兆を伴わない片頭痛は高頻度に認められたにもかかわらず，20〜30歳代で増加した後，40歳をピークに徐々に減少していくという結果でした。そのほとんどは一過性の前兆を伴わない片頭痛であり，追跡期間の半分以上の年数も出現していたのは20％であったといいます。

従来は、頭痛の中では緊張型頭痛が最多と考えられていましたが、今回のスイスの調査では、前兆を伴わない片頭痛が最多でした。実際は、緊張型頭痛、片頭痛のかなりが重なり合っているのではないかと思われます。つまり、頭痛の発症の原因は同じで、その程度によって症状の出方が違うだけと考えます。

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