片頭痛患者さんでは不安が顕著に高い

現在、日本では800万人以上が片頭痛に罹患していると見積もられています。東邦大学心身医学講座の一般大学生を対象に独自の調査を行った結果、片頭痛について有病率は16.9％で、症状としては慢性的に感じられる不安である特性不安が有意に高かったことが第３回不安障害学会で報告されました。

初診患者50例のうち頭痛を主訴とする割合は24％であり、そのうち一次性頭痛にうつや不安などを併発しているのは約50％と見られます

頭痛患者における慢性頭痛とメンタルの関係については、慢性頭痛があるので不安などの二次的な心理変化が生じるという横断的解釈と、慢性頭痛が続いた結果、うつが生じるという縦断的解釈がいずれも可能です。

片頭痛患者さんについては、対照群と比べて有意に不安が高く、また不安障害を伴いやすいことが報告されており、慢性頭痛の診療ガイドラインでは、片頭痛における大うつ病の生涯有病率は20〜40％で、オッズ比は3〜4とされています。

片頭痛は緊張型頭痛を併発すると、パニック障害および強迫性障害を発症する傾向が高まります。片頭痛が併発しやすい精神疾患としては、うつ病・パニック障害が挙げられます。また、片頭痛には認知療法が有効なことから、近年では破局的思考などの認知面との関連が注目されています。

都内在住の一般大学生385例を対象に自己記入式の質問紙により片頭痛の詳細な調査を行った結果、片頭痛有病率は16.9％で、女性の方が男性より多かった。片頭痛を発症していると、抑うつ傾向が高く、状態不安も高かったが、特性不安はさらに有意に高い結果でした。

頭痛患者の日常生活への影響を簡単に測定する頭痛インパクトテスト（HIT）-6指標を調査した結果、状態不安、特性不安はともに相関が認められ、日常生活への大きな影響が明らかになりました。

片頭痛患者では、破局的思考を取りやすいことも明らかになりました。痛みに対する破局的思考の程度を測定するPain Catastrophizing Scale（PCS）により、無力感、反すう、拡大と片頭痛の発症を調べた結果、片頭痛発症患者ではいずれの項目もスコアが高く、片頭痛重症度とPCSの間に相関関係が認められ、PCSとHIT-6の間にも同様の関係が認められました。

さらに、前兆を伴う片頭痛では、PCSに示される破局的思考が強く発現することが判明しました。

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