慢性片頭痛患者：発作性片頭痛患者に比べ健康状態が不良

慢性片頭痛患者では発作性片頭痛患者より全体的に健康状態が不良で、抑うつ状態が強いという結果が発表されました（Journal of Neurology Neurosurgery and Psychiatry（2010; オンライン版）。

今回の研究は、American Migraine Prevalence and Prevention（AMPP）の2005年の調査データを用いて、慢性片頭痛患者さんと発作性片頭痛患者さんにおける社会経済状況や健康問題を比較したものです。

AMPPは米国の頭痛患者2万4,000例を調べた長期試験で、この試験の一部に参加していた発作性片頭痛（1か月間に14日までの重度の頭痛） または慢性片頭痛（1か月間に15日以上の頭痛）の成人患者さん約1万2,000例を調べました。

その結果から、慢性片頭痛患者さんでは発作性片頭痛患者より世帯収入のレベルが有意に低く、常勤雇用の割合が低く、仕事に支障を来す可能性が約2倍であり、また、抑うつ、不安、慢性疼痛を経験する可能性は2倍高いことがわかりました。そして、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患（COPD）、高血圧、糖尿病、高コレステロール、肥満などの健康問題を有する可能性も有意に高いことがわかりました。

さらに慢性片頭痛患者では、心疾患あるいは狭心症のリスクが約40％、脳卒中リスクが約70％高いという結果も得られています。

慢性の片頭痛では、社会生活レベルおよび健康状態の低下があるということが示されています。これも慢性炎症による全身の機能低下を来す傍証となるでしょう。慢性炎症をくいとめる必要があります。

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