卵巣がん MRIで化学療法の効果を治療開始1カ月後に予測
卵巣がんは、発見されたときには既に進行していることが多く、手術やタキサン系薬と白金製剤による化学療法が施行されますが、大半が平均18カ月後に再発します。化学療法に対して抵抗性を示すようになると、一般に2回目以降の治療で得られる効果は低くなるため、治療の初期段階で非奏効例を特定する方法が必要とされてきました。
今回、MRIを用いて、末期卵巣がんに対する化学療法の効果をわずか1サイクル(21日間または28日間)後に判定できる手法が論文報告されました(Radiology(2011; 261: 182-192)。
MRIで化学療法が無効であることが分かれば、それ以上の投与は必要なくなるため、このような客観的な評価ができれば卵巣ガン患者さんの抗ガン剤の投与で引き起こされる苦痛、寿命の短縮が軽減されると期待できますね。
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→同教授らは、2008年11月から2010年9月にかけて、卵巣がん患者42例に対して、化学療法開始前と、第1サイクルおよび第3サイクルの後にMRIで拡散強調画像を撮像した。拡散強調画像から、組織内の水分子の拡散を示す“見かけの拡散係数(ADC)”を算出した。この値は正常組織に比べて腫瘍組織で低くなる。
解析の結果、後に治療効果が認められた患者の多くでは、1サイクル終了時点でADCが上昇していたが、非奏効例ではこのような変化は見られなかった。
拡散強調画像は、卵巣がんの腹膜播腫による微小がん細胞も検出可能なため、がんの進行度判定にも有用である。
今回の研究は、マリー・キュリー・アクション、ICR、英国がん研究会(CRUK)、工学・物理科学研究評議会(ESPRC)から助成を受け、CRUK、EPSRCがんイメージングセンター、ICR婦人科腫瘍学部研究データ処理・統計科、王立マースデン病院で行われた。
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