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卵巣癌薬:ジフテリア毒素利用

卵巣がんや胃がんに高発現する上皮系増殖因子「EGF」の一種を阻害する新薬として無毒化したジフテリア毒素変異体の利用を福岡大学医学部、阪大微生物病研究会(阪大微研)との共同で研究開発し、卵巣がん治療薬候補の国内第2相臨床試験を今年中にも始める予定です。 EGFはがん細胞の増殖因子とされ、とりわけその一種のヘパリン様結合型上皮性増殖因子「HB−EGF」は卵巣がんや胃がん、乳がんに高発現します。とくに卵巣がんでは腹水中に同因子が高発現し、がん増殖の重要因子とみられています。

福岡大は無毒化したジフテリア毒素変異体がHB−EGFと結合することを発見し、変異体を治療薬に応用。「CRM197」の開発コードで研究開発を進めており、医師主導の第1相試験を終えた段階にあります。治験薬は阪大微研が製造し供給しています。

第1相試験では、再発卵巣がんを対象にCRM197を腹腔内に投与し、安全性や有効性を検証しました。腹水中のHB−EGF値を大幅に減らすことができ、標的病変の縮小や延命効果も認められたといいます。安全性も確認され、次の第2相試験では既存の抗がん剤と併用するなどして幅広く治療効果を見極める予定。年内にも試験計画を定めてスタートさせる計画のようです。

抗ガン剤のような重い副作用がないのなら、卵巣ガン治療の選択肢の一つとして興味深いと思います。


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