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卵巣がんに対するbevacizumab投与の有用性を検証

Bevacizumabは、大腸がんおよび非小細胞肺がんに対する分子標的治療薬として、わが国を含めた世界各国で承認されている血管新生阻害薬です。これは、腫瘍の栄養血管を断つ働きをもつために、腫瘍の増大を抑える働きが期待されています。

米国立がん研究所(NCI)傘下の公的臨床試験グループである婦人科腫瘍グループ(GOG)は、2005年から進行上皮性卵巣がん・腹膜がんの標 準治療であるパクリタキセル/カルボプラチン併用療法(TC療法)に対する新規分子標的治療薬である血管新生阻害薬bevacizumabの追加効果を確認するための多施設共同ランダム化第III相比較試験(GOG0218)を、医師主導治験として開始しています。

国立がんセンター中央病院 臨床試験・治療開発部薬物療法室の勝俣範之医長らは、同試験にわが国初の国際共同・医師主導治験として参加しています。

症例登録は、わが国では2008年1月から開始し、GOG0218試験は昨年8月に予定登録数を満たし登録終了。計1、873例が登録され、わが国からは44例が登録されています。44例中、重篤な有害事象は9例(消化管穿孔1例、発熱性好中球減少3例など)に認められたが、死亡例はなかったといいます。

同試験で卵巣がんに対するbevacizumabの有効性が示されれば、米食品医薬品局(FDA)に本年度中に申請され、早ければ平成22年中に同薬の承認が得られるようです。一方、わが国では企業からの承認申請が、米国より数か月あるいは1年以上遅れて行われる見通しということです。

残念ならが、この医薬品もあくまでも化学療法の補助として使用されるもので、単独で使用されるものではありません。従来の抗がん剤なしで使用できる安全な医薬品はまだまだ夢物語なのでしょう。卵巣がんの治療も今後は画期的な進歩が望まれます。


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